※本コラムはゲーム作品「妖怪ウォッチ1~3」をアカデミックに解析し元ネタの特定ほか妖怪伝承について解説していくコーナーです。
「妖怪ウォッチ2」より登場した「ヒライ神」は進化妖怪で雷蔵のレベルが29以上になると「ヒライ神」に進化する本家限定妖怪。
元ネタは落雷を一箇所に集め地面へと逃がす装置「避雷針(ひらいしん)」と思われる。
「避雷針」 は世界中の高い建築物に設置されており、日本でもビルをはじめマンションなどさまざまな場所に避雷針が設置してある。「雷を一点に集める」という特性からか、ヒライ神はどんなトラブルも自ら引き受けてしまう苦労人だという。
現に『妖怪ウォッチ2本家』では本家軍のボスである「大ガマ」の忠実な側近として登場する。 世話焼きゆえに彼の悩みは「肩こり」だという。雷および電気はマッサージの機械にも使われているので、ぜひとも雷のエネルギーを使って自分をいたわってほしいものだ。
また、読みこそ違うが『古事記』には「ヒライシン」とも読める「火雷神(ほのいかづちのかみ)」という雷の神様が登場する。「火雷神」は伊邪那美命(イザナミ)の胸部から生まれた神のひとりで炎を起こす雷を呼び起こす能力を持つ。
イザナミ自体は妖怪ウォッチにも登場しているが、人魚の色違い妖怪で『古事記』での設定とはだいぶ異なるため、こちらの「火雷神」はただの偶然かと思われる。
ヒライ神は日本の妖怪ではあるが、ビジュアルイメージは「雷蔵」と同じくギリシャ神話の神様に着想を得ているようである。どちらにせよヒライ神は神様なので大ガマの側近となるに相応しい大物妖怪であることに変わりはないということか。
※写真は妖怪メダル零 Zメダル-2nd/【ホロ】ヒライ神より
(穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部 寄稿・ミステリーニュースステーションATLAS)