人魚を食べた娘『八百比丘尼』伝説の入定洞がある空印寺

人魚の肉を食べると不老不死になる。そんな伝説の発祥ともいえる場所が、福井県に存在する。

昔、斉明天皇の時代に若狭国勢村(現・福井県小浜市)の長者の家にひとりの娘が産まれた。彼女は十六歳の時、父が竜宮でのみやげだと言う『人魚の肉』を口にしてしまい、以降歳をとらなくなってしまった。

しかし、家族や友人たちがみな年老いて死んでいくなかで、彼女自身はいつまでも若く美しいままであった。彼女は歳をとらない我が身を憂い、百二歳の時に仏門に入り、出家して僧形(比丘尼姿)となって諸国を遊行して廻ったという。

時代は流れ、後花園天皇の時代、彼女は諸国巡遊の旅を止めて生まれ故郷の若狭国に戻り、八百歳になった時、洞穴にて静かに入定したとされている。
この八百比丘尼が最期を迎えた、入定の洞穴が福井県小浜市の空印寺に残っている。

この洞穴にて祈願をすると必ず不思議な霊験があらわれるとの事で、参拝する人々は絶えた事がないという。洞窟には絶えず清水が垂れ、澄んだ水の溜まっている所があり、かつてはこの水を霊水として分け与えていたとのことだが、現在では衛生面と水量の減少により行われていない。




八百比丘尼は生前、ことのほか椿の花を愛しており、入定洞の入り口にも椿を植えたので、後世の人々は彼女を玉椿の姫とも呼んだとされる。今は狭い洞穴を囲むように色とりどりの椿が花を付け、入定洞の入り口を飾っている。

なお、八百比丘尼は洞窟に入る際、自らが植えた椿をさして「この椿の花が枯れたら、私が死んだと思ってください」と言い残したという。しかし、今でも椿の花は毎年美しい花をつけているため、もしかしたら八百比丘尼は今もどこかで生き続けているのかも知れない。

同寺には八百比丘尼の伝説を伝える絵巻や、小さな比丘尼の像なども存在している(絵巻は現在は非公開)。伝説に興味のある人は一度足を運んでみてはいかがだろうか。

※写真は公式サイトより

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)





 

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