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「田代まさし」の不祥事がもとで発生したネットの珍騒動『田代祭』とは

田代まさしは、かつてタレント・俳優などで活動していた人物。鈴木雅之をリーダーとするバンドグループ「ラッツ&スター」のメンバーの一人でもあり、また志村けんに笑いのセンスを見いだされたことでコメディアンとしても活躍し、「マーシー」の愛称で親しまれた。

独特の笑いのセンスから、「ダジャレの帝王」「小道具の天才」などと呼ばれ絶大な人気を博したが、2000年代以降、盗撮や覗き見、さらには覚醒剤の所持・使用も発覚したことで多くの人々に衝撃を与え、現在までの5度の逮捕歴を持つ。

2025年2月24日にフジテレビで放送された『志村けんの爆笑ベストコント30』では、逮捕後以降カットやモザイク処理などが施されていた彼の出演部分がノーカットで地上波放送されたことで、大きな話題となったことも記憶に新しい。

そんな彼の名が冠された、「田代祭」「田代砲」というネット用語がある。

ことの発端は、彼による盗撮・覗きという初期の騒動(2001年ごろ)に始まる。

掲示板2ちゃんねるでは、田代の顔を模したAA(アスキーアート)や盗撮や覗き見を意味する「タシーロ」というスラングまで誕生するほど、彼そのものをネタとして各所で取り上げられていた。

そんな中、アメリカのニュース雑誌「TIME」が行なっている、良くも悪くもその年の出来事に最も影響を与えた人物を特集し、そのプロフィールを掲載するという「パーソン・オブ・ザ・イヤー」のネット投票で、ある異常事態が発生していた。

なんと、その順位表では「Masashi Tashiro」すなわち田代が圧倒的投票数で1位に君臨していたからだ。

2001年12月21日の途中結果によると、2位のオサマ・ビンラディンの4.1万票をはるかに超える、6.9万票となっていた。これは、当時の2ちゃんねるユーザーたちによって発生した「TIME誌のパーソン・オブ・ザ・イヤーに田代を載せよう」という集団的な”悪ふざけ”によるものであった。

盛り上がりのさなか、なんと一部ユーザーによって自動連続投票スクリプトまで開発された。このプログラムは、サーバーに負荷をかけて機能不能に陥れる、いわばDos攻撃を用いたものであり、またこの時のために作られたものであったことから「田代砲」と呼ばれた。

だが、やはりDos攻撃ということもあってサーバーが疲弊しネット投票が中止、田代の得票数は無かったことにされ、その年はニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニがオブ・ザ・イヤーに選出される結果となった。

この一連の出来事が、「田代祭」と呼ばれるものである(いわゆる田代砲それ自体は罪に問われる場合があるので悪用は厳禁だ)。

当時黄金期であったFLASH動画で田代祭の様相を扱ったムービーが制作されたり、TIMEの表紙に田代が載っているコラージュ画像が作られるなど、この祭が当時いかに盛り上がっていたのかがよくわかる。

因みにこの田代砲、2022年にウクライナ政府によってロシアのサイバー攻撃に対応するために呼びかけられたウクライナIT軍によって、ロシア政府のサイトをダウンさせるため「Tashiro weapon」として正式採用されたと言われている。

【参考記事・文献】
https://moto-neta.com/net/tashirohou/
https://www.itmedia.co.jp/news/bursts/0112/21/10.html
https://dic.nicovideo.jp/a/%E7%89%87%E7%BF%BC%E3%81%AE%E7%94%B0%E4%BB%A3
https://dic.pixiv.net/a/%E7%94%B0%E4%BB%A3%E7%A0%B2

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【文 ナオキ・コムロ】

画像『マーシーの薬物リハビリ日記