【狐】
骨董品屋で購入したもの。狸と並び、狐が人を化かすことはよくある。
【狐と五行思想】
民俗学者・吉野裕子の五行思想説によれば、狐は黄色のため五行では土気となり、土気が「大地の徳=穀物の神」を表し、また「土剋水」(土は水に勝つ)という相生による海上安全や、「土生金」(土は金を生む)という相生から商売繁盛にも通じたのだという。
さらに同氏は、稲荷の鳥居が赤いのは、土気(黄=狐)が火気(赤)から生じるという「火生土」に由来すると説いている。これらの考察を基にすると、化かす妖怪の中でも唯一と思える狐火という名前が付けられているのも、この火生土の関連があるのではないかとも考えられる。
因みに絵は、「南総里見八犬伝」の絵入り・ひらがな表記化された江戸時代の草双紙『仮名読八犬伝』の第二編に収録されているものである。左上の黒い獣の傍には、「玉ずさのおんりょう」(玉梓の怨霊)と記されている。
(写真:山口敏太郎事務所)
