1978年から85年まで生放送歌番組『ザ・ベストテン』にて黒柳徹子と共に司会を務め、同年からは『ニュースステーション』のキャスターを2004年まで務めた、久米宏はフリーアナウンサーや司会などで活躍する人物である。
「誰も言わない意見を言ってみよう」を自身のモットーだと語る久米は、その発言の思い切りぶりのせいか、これまで幾度となくトラブルを起こしたことでもよく知られている。
それは、「ザ・ベストテン」時代から変わっておらず、ある時、松田聖子が出演した際に黒柳が「泣いていましたね」と言ったコメントに対し、「いや、涙は出ていない」と言い、それによって「嘘泣き」というフレーズが広まってしまったということもあった。
もっとも、当人は「嘘泣き」という言い方は一切していなかったとのことだが、モニターでも肉眼でも見てハッキリと”涙は出ていない”と確信した上での発言だったとのこと。
また、エンタメとして盛り上げるための演出だろうか、過激な行動をとることも多々見受けられた。
同番組に山口百恵が出演した際には、自身が熱烈な百恵ファンということもあってか、背後に回って尻を覗き込むような動作をしたり、果ては手を伸ばして彼女の尻を撫でたりといった問題行動を起こした。自然体の彼女を見せるファンへのサービスのつもりだったとのことだが、現代では間違いなく一発アウトだろう。
ニュースステーション時代になると、よりこのような過激な発言などは増していき、特に久米自身の意見を表明しつつニュースを報道するというスタイルから、久米の感情や思想に偏りがちになってしまい、それによってたびたび批判がなされるという状況にあった。逆に、そんせいでとんだしっぺ返しを食らったこともある。
1989年4月のこと。広島カープファンである久米は「アンチ巨人」を明言しており、この年の開幕直前に、巨人が優勝することは「万が一にもあり得ない」とし、「もし巨人が優勝したら丸刈りになります」と宣言。さらに、「日本一になった徳光さんの番組に出て万歳をします」とまで言い放った。
結果、その年の10月6日に巨人は優勝、久米は宣言通り丸刈り、しかもその後の日本シリーズにて対戦をした際には、逆転日本一も飾ることとなり、徳光和夫出演の「ニュースプラス1」に出演、徳光の前で「読売巨人軍、バンザーイ、くやしー」と高らかに屈辱的な姿を披露することとなった。
ところで、このニュースステーションには当時、とあるジンクスが囁かれていた。それは、「久米宏が夏休み(休暇)を取ると必ず大事件が起こる」というものである。
実際挙げられているものには1988年の潜水艦なだしお遊漁船第一富士丸衝突事件、1991年のソビエト連邦の崩壊、1997年のダイアナ元妃の事故死、2001年のアメリカ同時多発テロ、2002年の日朝首脳会談とかなり壮観である。
このジンクスは、スタッフの中でもよく知られていたようであり、毎回休暇中の久米の代打を務めた小宮悦子は、プレッシャーからお腹を壊すこともあったようだが、ダイアナ妃の事故などにおいて「自分で報じたい」という欲求も生まれ、「久米さん、帰ってこないで」と思ったほど自身のキャスターとしての心情に転機を与えたタイミングだったという。
なお、ニュースステーションが終わって以降もこのジンクスはにわかに発動しているらしく、2007年9月12日、自身が務めるラジオ番組『久米宏ラジオなんですけど』を夏季休暇中、安倍晋三首相辞任という大々的なニュースが起こり、これによってスタッフはジンクスが本当なのだと驚いたそうだ。
【参考記事・文献】
・https://dot.asahi.com/articles/-/113759?page=1
・https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geinox/147223
・https://www.news-postseven.com/archives/20190322_1332399.html/3
・https://www.news-postseven.com/archives/20190322_1332399.html?DETAIL
・https://x.gd/WVLwX
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【文 ZENMAI】
画像『久米宏です。 ニュースステーションはザ・ベストテンだった』