モンスター

ゲゲゲの鬼太郎に登場する女吸血鬼のモデル「カーミラ」

テレビ版『ゲゲゲの鬼太郎』第6期では、鬼太郎達日本の妖怪と西洋からやってきた妖怪軍団との戦いが描かれていた。

そんな西洋妖怪の幹部の一人に、女吸血鬼の「カミーラ」というキャラクターが登場。ウェーブのかかった黒髪に青白い肌をした美女の吸血鬼であり、美貌であらゆる生物を魅了し、虜にしてしまう。また血を吸われたものは彼女の下僕になってしまう。

他にも無数のコウモリに姿を変えることができるなど、典型的な吸血鬼の特徴を兼ね備えたものになっている。鬼太郎のアニメシリーズで登場する女性の吸血鬼としては初のキャラクターだが、モデルは恐らく海外の女吸血鬼「カーミラ」だと思われる。

「カーミラ」はアイルランド人作家シェリダン・レ・ファニュによる怪奇小説であり、作中に登場する女性の吸血鬼の名前だ。

作品は主人公の少女ローラによる回想からなっており、同居することになった美しい少女カーミラとの日々と、周囲で起きる怪奇現象を描いていくものとなっている。最終的にはカーミラが少女の血を啜って長年生き続けてきた吸血鬼である事が判明し、カーミラは退治されるという筋書きだ。

この「カーミラ」はハンガリーに実在した人物「血の伯爵夫人」ことバートリ・エルジェーベトの逸話と、アイルランドに古くから伝わっていた吸血鬼伝説を元に考えだされたものとみられている。

ちなみに「カーミラ」が世に出たのは1872年であり、吸血鬼の代名詞となるブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」よりも古く、作品に大きな影響を与えた。アニメ「ゲゲゲの鬼太郎」でもカミーラは血の風呂に入っているような光景が描写されており、「カーミラ」およびそのモデルになったエルジェーベト夫人を反映している事が解る。

ちなみに小説「カーミラ」では、吸血鬼に血を吸われた相手は次第に衰弱していき亡くなる、吸血鬼に襲われて死んだものが死後に吸血鬼となる、という特徴があり、虜にする・血を吸われたら下僕になるというカミーラの設定とは違っている。

ここは他の吸血鬼の伝説に合わせたとみてもいいのではないだろうか。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用