先日、千葉県で「曰く付き物件」が競売にかけられて話題となった。その家は地上三階建てのレンガ造りで立派な邸宅だが、平成26年に殺人事件が発生しており、平均と比べると非常に安い価格で競売にかけられる事となったのだ。なお、この事件の犯人はまだ捕まっていないとされている。
アメリカでも千葉県の事例と同じように「曰く付き物件」が売りに出されて話題となっている。その物件はオーシャン・アベニュー112番地の家、通称「アミティビルの家」。日本でもホラー映画として知られる「悪魔の棲む家」シリーズのモデルとなった物件なのだ。
この家にまつわる伝説は1974年11月13日に起きたある殺人事件から始まる。この家に住んでいた23歳の青年が自分の両親と4人のきょうだい達全員を射殺したのだ。彼は終身刑となったが、裁判の際に「頭の中に何者かの『殺せ』という声が響いてきて、その声に逆らうことが出来なかった」と証言している。
翌年の1975年に新しく家族がこの家を購入、引っ越してきたのだが、彼らは1ヶ月も経たないうちに退去してしまう。新しく入った家族の周囲でも得体の知れない怪奇現象が起き、家族は恐れをなして引っ越してしまったのだ。この話を元にジェイ・アンソンが小説を執筆、映画化もされる運びとなったのである。
しかし、現在では「アミティビルの家」はその大半がフィクションである事が判明している。この家に引っ越してきた一家が経済的困窮に陥り、弁護士らと組んでわざと「悪魔の棲む家」の噂をでっち上げ、実話体験を元にした小説や映画を制作する事で多額の金銭的収入を得ようとしたのだ。折しも1974年のアメリカは、前年にホラー映画の金字塔である「エクソシスト」が公開されたことも手伝って、オカルト・ホラーブームが巻き起こっていた。この背景もあって、「アミティビルの家」は非常に大きな注目を集める事となったのである。
この小説及び映画が注目されたことで、家には野次馬が連日押し掛ける騒ぎになった。結果、家は大幅な改修や修繕を行い、殺人現場となった地下室も潰されることとなったのである。
この家は現在でも競売中であり、その金額は$850,000米ドルからとなっている。
(飯山俊樹 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)