天台宗の総本山比叡山が揺れている。週刊文春で既に報じられているように、僧侶による修行僧への暴力事件が発覚したのだ。
暴力をふるったのは40歳になる自衛隊出身の僧侶、宿泊施設である比叡山会館の副館長をつとめるこの僧侶は、呼びに来た25歳の修行僧がカウンター超しに呼んだことに立腹、やや離れた場所に修行僧をつれていくと、4,5発平手打ちで殴り、鼓膜が破裂する事態となった。
鼓膜が破裂した修行僧は、この暴力事件に関し違う僧侶に相談、この不祥事が発覚するに至った。ちなみにこの40歳の僧侶だが、今年に入り他の僧侶を殴ったり、袈裟を破くなど、他にも二件の暴力事件を起こしている。
まるでかつての僧兵並みの暴力僧侶である。
この事件を聞くにあたり、筆者はかねがね痛感していた天台宗の規律の乱れに関して思いを新たにした。
一昨年、筆者は天台宗のある僧侶から、お布施の追加請求メールをもらい唖然とした経験がある。この僧侶は漫画の主人公のモデルになるような人気僧侶であり、このような非礼を行うとは思えず、大きな衝撃を受けた。
しかも、その僧侶は他の霊能者の悪口までもそのメールに書いており、二重の意味で愕然とした記憶がある。
僧侶とは思えない”ゲスな行動”に関して、比叡山に問い合わせしたところ、
「各地域の教務に問い合わせしてほしい」
「各お寺はそれぞれ独立した宗教法人なんで、なんとも言えない」
というまるで役所のような回答であった。いったい何のための総本山なのだろうか。
今回の暴力事件も比叡山の”事なかれ主義”が招いた結果ではないのだろうか。
非常に不可解と思った筆者は日蓮宗や真言宗など各宗派に、天台宗の人気僧侶によるお布施追加請求問題に関して聞いて廻ったが、誰しも「そのようなメールは前代未聞である」との回答であった。
もし、筆者がその僧侶の立場であれば、自分が想定していた以上にお布施の金額が入っていた場合も、想定以下のお布施の金額であった場合も、すべて御仏の自分への”試し”ではないかと内省したと思う。それが修行であり、仏教ではないだろうか。
それをせずして、「金が足らない」とメールで言ってくる下品さは僧侶にあるまじき行為であり、死後無間地獄に堕ちるのではないかと危惧してしまう。何度冷静に考えてみても、この僧侶のふるまいは、天狗道に堕ち、驕慢と傲慢に満ち溢れた所業であり”恥の極み”ではないか。
天台宗はこれを機会に猛省すべきではないだろうか。
筆者は密教好きであり、天台宗のルーツである中国の天台山に出向き現地の僧侶たちと、朝のお勤めをしてきたほどである。それだけに天台宗の凋落は悲しくて仕方ない。
このような天台宗への不満や批判は一般の人々もブログやツイッターで声をあげている。信長による比叡山焼き討ちから四百数十年、今度はネットで比叡山が炎上する可能性があるのだ。
志ある天台宗の僧侶たちが自浄のために立ち上がってくれることを心から祈っている。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)