猛禽類であるワシの頭部と翼を持ち、ライオンの体を持つグリフィン(またはグリフォン)は、古代ギリシャ神話をはじめ何千年もの間、伝説や民間伝承に登場してきた生物だ。
このグリフィンについては、恐竜の化石を見た人が想像したものであると長い間考えられてきた。有名な説では、グリフィンはモンゴルや中国北部で金を探していた探鉱者たちが発掘したプロトケラトプスの化石にインスパイアされたものという説がある。
確かにプロトケラトプスはライオンのような4本の脚を持ち、口はくちばしのようで頭蓋骨には大きなフリルのような突起があった。当時の人からすれば恐竜の化石は空想上の生き物の骨に見えたとしても不思議ではないだろう。しかし、本当に伝説のグリフィンの起源と言えるのだろうか?
ポーツマス大学の古生物学者であるマーク・ウィットン博士とリチャード・ヒング博士によれば、プロトケラトプスの化石発掘現場付近に金鉱があった形跡はなく、当時の人がその化石を生物の骨と認識した可能性は極めて低いという。
「恐竜の骨格は半分露出した状態で発見され、最近死んだ動物の遺体のように転がっているという思い込みがあります。しかし、一般的には侵食された恐竜の骨格のほんの一部が肉眼で見えるだけで、鋭い目を持つ化石ハンター以外は岩にしか見えず、なかなか気づかないものなのです」とウィットン氏は述べる。
実際のところ、恐竜の化石はグリフィンの起源とは無関係である可能性が高いと研究者たちは主張している。
「グリフィンの起源に関するすべてのことは、想像上の獣としてのグリフィンの伝統的な解釈と一致している。グリフィンの伝承に恐竜の役割を持ち込むこと、特にプロトケラトプスのような遠い国から来た種は、グリフィンの起源に不必要な複雑さと矛盾をもたらすだけでなく、精査に耐えられない解釈や提案に依存している」とウィットン氏は語っている。
(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)