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80年代の代表的アニメ「うる星やつら」のクレーム伝説

『うる星やつら』は、週刊少年サンデーにて1978年から87年にかけて連載され、1980年代にはアニメ化もなされた漫画家高橋留美子によるラブコメ漫画作品である。

内容の斬新さと魅力的なキャラクターの多彩さから一大ブームともなり、以後の漫画界やアニメ界に大きな衝撃を与えた一作であると言われている。近年でもあらたにアニメが制作されているなど、その人気は現在もなお衰えることを知らない。

人気作品の宿命とも言うべきか、「うる星やつら」のアニメ放送は多くのクレームが寄せられていたと言われている・・・と言っても、その規模はきわめて大きいものであった。

基本ギャグ漫画であるもののその描写は少々過激であり、暴力的で下品な言葉を多用する場面が多く、何より一瞬ではあるものの第1話でいきなり半裸の描写が描かれるといった点から、PTAなどからの抗議が多かったという。

本作は、舞台が学園ということもあり、それがドタバタの末に荒らされるといった場面も多く見られていた。このことも、学校からの抗議に拍車がかかった要因となったのではないかと言われている。フジテレビのワースト番組の常連にもなり、番組企画者は常に会議室で謝罪していたという逸話もある。

また、本作は特に原作ファンからもクレームが殺到したことで知られている。原作との違いから原作ファンからのひんしゅくが相当数に及び、抗議の手紙どころか罵詈雑言を録音したテープやカミソリが入った手紙が送られたこともあったという。

当初は、登場キャラクター諸星あたりの声(古川登志夫)が大不評であったとも言われ、またそのクレームの苛烈さから、チーフディレクターを務めた押井守の降板説まで浮上したほどだったと言われている。

制作はつねに綱渡りで進行されており、いつ打ち切りになってもいいようにクールの終わりごとには最終回らしいエピソードを用意していたという。なお最後の最後までこのようなクレームは絶えることがなく、原作より先にアニメが終了した際には、製作スタッフ宅へのピンポンダッシュや無言電話も発生したそうだ。

さらに、本作はラブコメというジャンルでありながらSF要素も強く、昔話のパロディ、既存の映画やアニメあるいは有名人の名言やネタをするなど現代的なギャグの手法が詰め込まれており、放送局の上層部からは「やりすぎ」だという注意がされ、納品が一度断られたこともあったと言われている。

このように、アニメ『うる星やつら』は、大人気となったその裏側でクレームの嵐だった。

その最大の出来事と言われているのが、いわゆる原作者高橋留美子によるものだ。ことの発端は、1984年に東宝系で公開された劇場版『うる星やつら』、正式タイトル『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』である。

本作は、押井が監督を務めた『うる星やつら』の劇場版第2弾となる作品であり、その内容は文化祭の前日という夢の世界に閉じ込められ、延々と繰り返されていくというストーリーとなっている。試写会でこの映画を観た高橋が「これは押井さんの作品だ」と発言をし立ち去ったというのである。

しかし、このエピソードについてはデマ説も唱えられており、週刊少年サンデー2020年44号内で設けられた記事では、「押井守監督とは…どんな感じ…なんでしょうか?」という問いに対して高橋が、「不仲説、ずっとありますよね(笑)否定してるんですけどねぇ」と言い、その方が世間的に面白みがあるから訂正されないのかもしれないと語っている。

一方で、試写会で激怒したということについては、他の人々の証言もあるためにそれ自体がデマであるとは必ずしも言えない節がある。因みに、この作者が激怒したという話は、押井自身がたびたび周囲へ語るエピソードの一つとなっているそうだ。

【参考記事・文献】
うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー
https://x.gd/YloUq
高橋留美子若い頃の水着姿と顔紹介!激怒した作品や独身理由,酒コラボも調査!
https://mangakasan.com/takahasirumiko-2002
『うる星やつら』アニメ放送40周年 クレームが絶えず、打ち切りの可能性も…
https://magmix.jp/post/64406

【アトラスラジオ関連動画】

【文 ZENMAI】

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