『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』は、週刊少年ジャンプに連載されていた和月伸宏原作の時代劇漫画であり、1990年代の中後期においては同誌の看板作品の一つと歌われ、アニメ化や実写映画化など幅広い展開を見せた人気作品だ。
幕末最強の人斬りであった主人公の緋村剣心の、仲間との出会いや宿敵たちとの戦いを描く物語となっている。本作の最終回は、長年の戦いでの反動により戦えない体となった剣心が、ヒロイン神谷薫の門下生明神弥彦に逆刃刀を継がせ、またヒロインと結婚し息子の剣路を授かるハッピーエンドとして描かれている。
本編から数年後を描いた原作の最終回であるが、そのさらに先を描いた最終回が存在している。しかも、その最終回はあまりにも賛否が分かれる問題作として知られているのだ。それは、2001年に発売されたOVA『星霜編』である。
アニメオリジナルストーリーとして描かれる本作の最終回は、剣心と薫が結婚してさらに十数年ほど経過した時代の話となっている。幸せに家族と暮らしている剣心へ、日本や大陸で人々を助ける旨の要請が陸軍より下される。
剣心は長年の戦いから贖罪の意識を抱えており、それを償うための旅だと決意を固め、妻子を置いて旅立っていく。その後、長い旅を終えて薫のもとへ帰ってきた剣心であるが、その体は病に侵されており、最後には命を落としてしまうのだ。
きわめて陰湿な雰囲気が目立つOVAのストーリーであるが、作中内ではこの剣心を蝕んだ病について具体的な名前は登場していない。さらにショッキングなのは、その病を共に分かち合おうと考えた薫も、最後には同様の病に侵されてしまう結末となっている。
そして、一説にはこの剣心が侵されていた病とは、「梅毒」だったのではないかと考えられているのである。
梅毒は、感染症の一種であり剣心の物語の設定となっている時代においては、不治の病として恐れられていた。そうした例や剣心の体に残る斑点の描写などから、その特徴に合致するのが梅毒・・・なのだ。
梅毒は血液感染する病であることから、一説には剣心が旅の中で浮気をしたために感染したのではないかというものまで浮上していた。だが、梅毒は「粘膜や皮膚に直接触れると感染する」ということ以外に「傷口から感染する」場合もある。
この物語において「各地の療養所を回っていた」との設定がなされていたということから、長年の戦いで多くの傷を持つ剣心が、ケガなどの手当てなどによって血液の接触がなされたということも考えられる。そして、これが梅毒に感染した原因ではないかというのが、現在のところ妥当な説となっている。
また監督によれば、この話は資料館で読んだ光明皇后の説話に影響を受けたものであり、身分を超えて患者の膿を吸い出したというその行為を剣心と重ね合わせたということだ。因みに、剣心の病は作中では架空の病、光明皇后の説話ではハンセン病となっている。
原作とはあまりにも異なるショッキングな最期を迎えるこの星霜編の最終回は、今なお賛否両論となっている。特に、思い入れの強いファンであるほど、この死亡エンドは受け入れがたいものとなっている。
唯一の救いは、剣心と薫が最後には互いに受け入れ合った最期を迎える、言うなればハッピーエンドであったということだろうか。
【参考記事・文献】
るろうに剣心の漫画最終回考察!ラストは性病で死ぬってホント?
https://menslog.net/2021/05/25/ruroken-comics-last/
るろうに剣心・星霜編のあらすじをネタバレ!幻と言われる最終回の内容は?
https://bibi-star.jp/posts/1514
るろうに剣心の梅毒はなぜ?理由・感染経路と星霜編の結末についても
https://kdrm4.com/kensin-baidoku-naze-8047#toc4
【るろ剣】剣心が最後に死ぬ星霜編が衝撃!死因が梅毒で薫も感染!
https://happymackeyblog.com/rurouni-kenshin-die/
【文 ZENMAI】