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不死身の軍人「舩坂弘」の壮絶な戦場体験とは

歴史上、人間の能力の限界を超えた軍人は数多く存在する。かつての元日本軍においてもそれに類する人物が存在しており、中でも陸軍において最強の歩兵とも言えるほどの存在であったのは、舩坂弘(ふなさかひろし)をおいてほか無いだろう。

舩坂は、元帝国陸軍軍曹を務め、戦後は日本初となるビルをまるごと書店とした「大盛堂書店」の創業者としても知られており、戦中における壮絶な活躍ぶりから「不死身の分隊長」「生きた英霊」と呼ばれていた。

剣術・射撃ともに優れた能力を有し、精鋭部隊である第36師団の中でも、エリート中のエリートを集めた第1大隊に配属された舩坂がその名を轟かせたのは、パラオ・マリアナ戦役の最後の戦いとなる「アンガウル島の戦い」だ。

アンガウル島は、パラオにある島の一つで日米が死闘を繰り広げたペエイリュー島から10キロほど南にある島である。地獄の戦場として語られる戦地であり、多くの兵士が壮絶な最期を遂げたことから「玉砕島」とも呼ばれている。

米軍歩兵師団およそ20000余人に対して、日本軍は1200人という圧倒的な大差でのこの戦いにおいて、舩坂の活躍は驚くべきほどに常人離れしていた。大砲や臼砲を用いて200人以上もの米兵を殺傷し、対峙した米兵3人を2人射殺、銃剣の刃を投擲して残り1人の首に命中させて仕留めたという。戦いの中で数々の傷を負うものの、一晩休めば復活するという驚異的な回復力も持ち合わせていた。

だが、そんな彼であっても多くの重傷を負っていることに違いはなかった。陣地の洞窟では多くの隊員が自決の為に手榴弾を求める声がやまないほどであり、彼自身も軍医から手榴弾を渡された。彼は、自身の体が蛆に食われるくらいならと一思いに手榴弾に手をかけたが、なんと不発であった。「死ぬことすらできないのか」と絶望した彼であるが、それと同時に「どうせなら一矢報いよう」と決意したという。このことが、彼の分岐ともなったと言えるだろう。




彼は、三日三晩かけてジャングルをはいずり回り、敵軍の司令部にたどり着いた。米軍部隊の指揮官が集まっている中、左手に拳銃、右手に安全ピンを抜いた手榴弾を持って、彼は茂みから立ち上がり一気に突入したのだ。這ってボロボロの風貌に見張りの米軍たちは呆然と立ちすくんでしまったが、手榴弾を爆発させる寸前に銃弾が彼を襲い計画は未遂に終わった。舩坂は昏倒状態となり、米軍軍医は誰しも「サムライの死」を確信したが、なんとその3日後に目を覚ましたのである。

だが、彼にみなぎった闘志は尽きることはなかった。ペリリュー島の捕虜収容所に移送されることとなり「要注意」対象ともなっていた彼であるが、その負傷状態から監視が甘かった。彼はその監視を掻い潜って夜間密かに脱出し、基地から1000メートル離れた日本兵の死体から弾薬の火薬を拝借し、それを使って収容所の兵器保管庫を爆破させることに成功したのだ。当時、米軍はこの爆破の原因がわからず、一方で翌朝、彼は何食わぬ顔で点呼に集合していたという。

そんな彼に思いも寄らない転機が訪れた。自らの命をも顧みない幾度もの反抗や脱走を試みた彼に対し、米国軍人のフォレスト・クレンショー伍長が「生きる希望を捨ててはいけない」と度重なる説得をし、徐々に彼は心を開くこととなった。それ以来、彼らの交友関係は戦後を通じても続いており、クレンショーが来日をしておよそ20年ぶりに舩坂との再会を果たし、帰国したクレンショーは舩坂が創業した「大盛堂」の名を取って、貿易会社「タイセイドー・インターナショナル」を創立したという。

彼のこうした伝説的な逸話は、のちに漫画『ゴールデンカムイ』に登場する”不死身の杉元”こと杉元佐一のモデルになったとも言われている。戦後の彼は、「大盛堂」の創業の他、南洋の島々で慰霊碑を立て、また2006年に亡くなるまで各島で戦死した兵士の遺骨の回収に尽力を注いでいた。

彼は亡くなるその日まで、人生の戦争と戦い続けたのであった。

【参考記事・文献】
舩坂弘
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/4194.html
舩坂弘
https://dic.nicovideo.jp/a/%E8%88%A9%E5%9D%82%E5%BC%98
10000人対1人…日本史上最強の日本軍・舩坂弘伝説…
https://kwsklife.com/japanesearmy-legend/
個人として唯一戦史に刻まれた男“不死身の分隊長”舩坂弘――日本軍1400VS米軍2万2000の圧倒的不利な状況で戦い抜いた豪傑伝説を解説
https://originalnews.nico/167741/2

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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