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第二次大戦中に流行した《都市伝説》「ヒトラー」のタマキンは一つだけだった?

第二次世界大戦中、英国軍兵士の間でとある替え歌が流行していた。それは「Hitler has only got one ball」(ヒトラーのキンタマは一つだけ)というなんとも下品な内容の替え歌である。

メロディは、現在でも日本の運動会にて入場曲としても使用される行進曲『ボギー大佐』、映画『戦場にかける橋』で「クワイ河マーチ」として編曲された曲であり、♪サル~ゴリラ~チンパンジー~♪ の替え歌でもお馴染みのあの曲だ。

「ヒトラーの睾丸は一つしか無い」という話は、当時都市伝説のように広まっており、プロパガンダの一環だったのではないかと考えられていた。1970年ごろになると、ヒトラーが自殺した1945年に旧ソ連が彼の遺体を解剖し、「単睾丸」いわゆる片玉であったということが報告されたそうだが、信憑性に乏しい情報となっている。

また、オーストリアのユダヤ系医師エドゥアルド・ブロッホが、ヒトラーの睾丸に異常はなかったと答えていたという説もあり、真相は全くわからなかったのだ。余談だが、エドゥアルドはヒトラーの母クララの乳癌を治療した医師であり、クララの最期の時まで職責を全うした彼に対しヒトラーは生涯恩義を忘れることがなかったという。

情報源は不明であるが、第一次世界大戦中の1916年の7月から8月にかけて起こったドイツ軍とイギリス軍の激戦「ソンムの戦い」で、ヒトラーは鼠径部(そけいぶ)を負傷したというような話も出回っており、この時の負傷でヒトラーは片側の睾丸を失ったのではないかとまで考えられていたようだ。

しかし、長らくプロパガンダや都市伝説として語られていたこの説に対して、2015年にドイツのフリードリヒ・アレクサンダー大学の歴史学者ペーター・フライシュマンにより、一気に信憑性が得られる発見された。




1923年11月当時、ヒトラーはミュンヘン一揆と呼ばれるクーデター未遂事件をナチス党員とともに起こしており、政府からの鎮圧によって逮捕された。その後、彼はバイエルン州にあるランツベルク刑務所に収容されたのだが、実はその際に医師のジョセフ・ブリンステイナーによって記されたヒトラーの診察カルテが残っていた。

そのカルテの記述によると、ヒトラーは「停留精巣」だったという。停留精巣とは、出生直前に鼠径管を通って陰嚢(いんのう)へ降下するはずの睾丸が、腹部に留まって降りてこない状態のことを指し、100人に1人の確率で発生する症状である。幼少期の手術による治療が一般的であるが、放置したまま成長すると睾丸が発達できず不妊などの原因になってしまうという。

これにより、ヒトラーは睾丸そのものは2つ持っていたが、陰嚢には1つしか収まっていない、すなわち片玉ということ自体は事実であることが判明したのである。この発見により、生涯を通してヒトラーに子どもがいなかった理由にも繋がるのではないかと言われ、また、ヒトラーが狂気に及んだいわば”コンプレックス”の要因を探る一助になるのではないかとも考えられている。

なお、歴史小説家であるジョナサン・メイヨーとエマ・クレーギーはその共著『Hitler’s Last Day』にて、ヒトラーは陰茎が短小であったことや尿道下裂という排尿の問題もあったのではないかと推察している。

因みに、英国軍兵士の間でくだんの替え歌が流行したそもそもの発端については諸説ある。情報部によって発覚したことで、ヒトラーへの挑発を込めたものであったという説もあれば、当時ナチ党で国民啓蒙・宣伝大臣を務めたヨーゼフ・ゲッベルスの「ゲッベルス」という名前が英語圏では上手く発音できず「ゴーボールズ」のような音となり、それが「ノーボールズ no balls」の着想となった偶然の産物ではないかという説もあるという。

【参考記事・文献】
【衝撃】ヒトラーのキンタマは1つだった!! 刑務所のカルテで片玉伝説が史実だと判明!
https://tocana.jp/2015/12/post_8370_entry.html
アドルフ・ヒトラーは片玉だった! 停留精巣が原因で右の睾丸が無かったと判明
http://enigme.black/2015121903
ヒトラーのペニスは超短小で片タマだった
https://ameblo.jp/2750-0405/entry-12595716167.html
ヒトラーの睾丸は本当に一つだけだったのか?
https://x.gd/TPf9A

(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ウィキペディアより引用