2011年3月11日の記憶は、今も我々の脳裏に強く刻み込まれていることだろう。現代日本において、津波による猛威をこれほどまでに思い知らされた地震災害は他にない。1.1能登半島地震の発生直後に出された津波警報は、多くの人々に東日本の震災を思い起こさせることとなった。
国内で観測史上最大となるマグニチュード9.0、1900年以降に発生した世界各地の地震の中でも上位に食い込むほど大きい規模であったこの巨大地震は、人々の生活や文化といった営みのみならず、地球の天体運動そのものにも多大な影響を与えたと言われている。
アメリカ航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所の発表によると、この地震によって地球の形状軸は17センチメートルずれたのだという。形状軸とは、地球の南北を結ぶ自転軸からおよそ10メートル離れた地点にある、地球の質量がバランスを保つ軸である。
この軸が移動したことによって、1日の時間が1.8マイクロ秒短くなったというのである。これは研究者リチャード・グロスによる、地球の質量分布の変化に関する計算で求められた数値であるという
。
実は、過去の巨大地震においても見積もりとなっているが同様の結果が得られている。2004年に発生したスマトラ沖地震では、形状軸が7センチメートル移動し1日の長さが6.8マイクロ秒短縮、そして東北の震災の前年2010年に発生したチリ地震では、形状軸が8センチメートル移動し1日の長さは1.26マイクロ秒短縮したとされている。
形状軸のずれや1日の長さの短縮は、発生した地震の緯度や断層にも関連してくるものの、東北の地震の形状軸がスマトラ沖とチリ両方の地震と比べても2倍以上の大きさでずれていることがわかる。リチャードによれば、この東北の地震は実際に計測することが可能であった唯一の地震であると語っている。
因みに、地震と地球の自転速度の相関関係については、以前から研究がなされている。アメリカ地球物理学連合(AGU)によると、地震が頻発する周期は地球の自転速度が低下した時期と関連しているという。
地球は25~30年の周期で自転を減速させており、歴史的に見ると減速している期間の約5年間、その最後の年の翌年に地震が頻発する傾向にあるという。この発表は2017年になされ、翌年2018年に地震が頻発することを予測した報告となっていた。この発表内容の信憑性は定かではなく、あくまで頻度を示したものではあるが、この2018年には北海道胆振東部地震が発生している。
大地震の発生により自転が速まり、自転が遅くなることで地震が頻発する。先述した周期から、この両者がどれほど関係しているかはまだ不明であるが、今後の地震予測の一指標となっていることは確かだなようだ。
【参考記事・文献】
2018年は「巨大地震頻発」の年に、地球物理学者らが警告
https://forbesjapan.com/articles/detail/18580
南米チリの巨大地震、地球の自転に影響か
https://www.astroarts.co.jp/news/2010/03/05chilean-quake/index-j.shtml
チリ大地震で地軸にズレ
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/2387/
1日の長さ、東北大地震でわずかに短縮–NASA研究者
https://japan.cnet.com/article/35000566/
東日本大震災で地球軸17センチ動き、1日が24時間でなくなる
https://media.yucasee.jp/6998/
(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 I, Dennis Nilsson, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3262268による
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