弁財天に一目惚れし、悪行を改めた五つの頭を持つ龍「龍口明神社」

2024年の今年は辰年。干支は十二支の中でも唯一の架空の生物である龍だが、東洋の龍は西洋のドラゴンと違ってあまり外見的な特徴に差がない。しかし、中には特徴的な見た目をしたものも存在している。

今回は頭が5つある、その名も五頭龍を紹介したい。

五頭龍は神奈川県鎌倉市に伝わる龍だ。文字通り5本の首を持つ龍で、山を崩したり洪水台風を起こすなど、龍に相応しく神通力を振るって人々を苦しめていたという。天変地異を起こす五頭龍を宥めるため、近くの長者が16人いた子供達を1人残らず五頭龍に捧げなくてはならない程だったという。

欽明天皇の時代、552年のこと。鎌倉の海に突如雲が立ち込め天地が激しく揺れ動いたかと思うと、一人の天女が雲の間から舞い降りてきた。そして雲が晴れると、今まで何もなかった海上にひとつの島ができていた。これが現在の江ノ島であり、舞い降りた天女は弁財天だとされている。


弁財天のあまりの美しさに五頭龍は一目惚れしてしまい、求婚した。しかし、龍はこれまで悪行を重ねていたため弁財天は求婚を断った。諦めきれなかった龍はこれから善行を詰むことを約束し、晴れて結ばれたとされている。

この伝説は永承2年(1047)に天台宗の僧・皇慶によって原本が作られたという「江島縁起」にまとめられている話だ。

この五頭龍を奉っているのが鎌倉市腰越にある龍口明神社だ。ちなみに腰越という地名は、子供達が龍の生贄にされたことから「子死越」た呼ばれていたことに由来するという。龍が心を入れ換えてからは地名も代わり、龍も五頭竜大神と呼ばれるようになり、今も多くの人に篤く信仰されている。

(加藤史紀 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 みおなん / photoAC

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