ケンタッキー(KFC)にまつわる都市伝説と言えば、道頓堀川に投げ入れられたカーネルサンダースの呪いを浮かべる人も多いだろうが、中でも「食」に直接かかわるものとして、改良された鶏肉を使用しているというものも有名である。
ケンタッキーは、商品に利用する鶏肉のコスト削減のため、遺伝子操作によって4本あるいは6本の脚を持つ鶏を開発し、その肉を提供しているという。KFCが本当にそのような改良された鶏肉を使用しているかどうかについては、あくまで都市伝説であるため真偽のほどは定かではない。
しかしながら、そのような多肢の鶏については実在はするのである。
ネット上で見られる多肢の鶏画像にしては、加工が施されたものも確かに多い。その一方で、実際に先天的な奇形のものとして誕生しているものも確かに存在する。二つの頭を持つヘビや単眼のブタといったものを見たことのある人は多いだろうが、中国などの海外から発信される奇形動物のニュースは非常に多い。
また、ハーバード大学医学部の研究には、先天的に腕や脚が不自由な人に対する移植を目的とした実験により、腕の生える部分に脚を生やすといったことが、ヒヨコが誕生する前の胎児直前での操作により成功したという報告が、1999年に発表されている。
これらのことから、少なくとも先天的な奇形の鶏は珍しいことではなく、そして実験によって多肢の鶏を生み出すことは現実的に見ても可能であると言えるのである。だが、それが即KFCの使用について信憑性が高まるかと言えば必ずしもそうとは言えない。
ある業者による見解によれば、先天的に多肢の鶏が誕生したとしても、基本的には2本の脚で活動するために他の脚がまともに育たないという。要するに、たとえ脚を増やしたところで商品価値が殆ど保証できない。
だが、この都市伝説の浸透はだいぶ深刻なものであるようだ。2015年ごろ、中国にて「KFCが遺伝子操作された6枚の羽根、8本の脚を持つ鶏を使っていた」という噂をソーシャルメディア上で流した3社が、客をミスリードしブランドを傷つけたとして訴えられた。
この噂で使用された複数の羽と脚を持つ鶏の画像は、加工による捏造であると断定され、噂自体も事実無根であると判断されたという。
KFCが多肢の鶏を使っているというこの都市伝説は、「たった2本のモモ部分が、これほど安く大量に賄えるのか」という疑問に端を発したものではないかと考えられ、現実的に見れば信憑性は極めて低いと言わざるを得ないだろう。
しかし、遺伝子組み換え技術を応用した研究開発は各国で進められているという事実もある。商品価値の基準を達成した多肢の鶏が、KFCに限らず将来的に食品提供される可能性は、必ずしも無いとも言えないのではないだろうか。
【参考記事・文献】
ケンタッキーの鳥がやばい!足が4本、6本の噂は嘘?毛がない?美味しさの秘密についても調査
https://www.coaweek.org/kentucky/
中国のKFCでは8本足の鶏を!?
https://fanblogs.jp/karakuchicomment/archive/18/0
フライドチキンに「三本足」「羽なし」が使われているという“都市伝説”の真偽
https://hbol.jp/23977/
Mutations Upstream of the TBX5 and PITX1 Transcription Factor Genes Are Associated with Feathered Legs in the Domestic Chicken
https://x.gd/UpwMf
New Findings Reveal How Legs Take Wing
https://www.science.org/doi/10.1126/science.283.5408.1615a
(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)