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登場人物が現実世界に大きな影響を及ぼした『幽☆遊☆白書』都市伝説

画像『幽★遊★白書 19

『幽☆遊☆白書』(ゆうゆうはくしょ:以後「幽白」)は、1990年代前半、当時の週刊少年ジャンプの看板作品であったほどに人気を誇った冨樫義博(とがしよしひろ)作の漫画である。アニメ放送も高視聴率を記録し、近年においては(評価の如何は別として)舞台化や実写ドラマ化もなされている。

幽白は連載当時、「桑原のジンクス」と呼ばれるものが密かに恐れられていた。登場人物の一人である桑原和真(くわばらかずま)は、主人公である浦飯幽助(うらめしゆうすけ)の自称ライバルとして初期から登場していた。彼の苗字は「くわばらくわばら」というまじないから取られ、その字面がプロ野球選手であった清原和博・桑田真澄の二人の名前とも重なっていることから名前にも拝借されたのだという。

この「桑原のジンクス」とは、漫画内で桑原が活躍すると現実の桑田が不調となり、登場しない時は桑田が好調になるというものである。このジンクスを信じる人が多いとファンの間で話題となり、果ては球界から作者の冨樫へ「桑原を活躍させないで欲しい」とのお願いがなされ、その結果後半になるにつれて徐々に桑原の登場回数が減っていったというのである。根拠のほどは定かではないが、このジンクスは都市伝説としても今でも語られている。


また、都市伝説とは趣を異にするかもしれないが、登場人物がらみの話しでもう一つ興味深いものがある。

登場人物の一人「飛影」(ひえい)は、魔界の盗賊、邪眼の持ち主として主人公を上回るほどの人気を誇った。その彼の名が用いられた、「飛影はそんなこと言わない」というコピペが一時非常に有名となり、現在でも「〇〇はそんなこと言わない」というスラングで残っている。この言葉は、長らく「検索してはいけない言葉」として取り上げられることが多かったのだが、その理由はこの言葉の由来がアダルトビデオであったとされていたことによる。

幽白の連載が完結したころの1994年に販売されたとあるアダルトビデオは、幽白(主として同人誌)の大ファンという女性いわゆる腐女子(ふじょし)が、自身と男優がお互いに幽白のキャラクターになりきって行為をいたすと言う内容であった。この時、相手の男優が飛影役として指名され、ことの最中に男優が何気なく発したセリフに対して、「飛影はそんなこと言わない」と突如素に戻り拒絶するという状況となった。この一連の流れは、ネット上で文字起こしされ、そのファン女性のあまりの痛々しさから有名なネタとなった。




ところが、本編中このセリフが発せられている場面は、実は全く存在しないのだ。この言葉の出どころは、青木光恵と岡田斗司夫の共著『東大オタク学講座』(1997)であると言われており、このビデオが題材として取り上げられた際「幽助はそんなこと言わないよ」という青木の評が発せられているのだ。

このセリフがビデオの内容と重なったことで「飛影はそんなこと言わない」というセリフが創作されたのではないかと考えられている。当時、オタク文化は徐々に認知され始めたとはいえ、BL(ボーイズラブ)はそこまで認知が得られていなかった。その得体のしれない趣向に対する不気味さと、オタクの異質性や執着という部分が強調される余り生み出されてしまったスラングだったと言えるだろう。

幽白は既に完結をしている作品であり、また緻密に計算された物語展開がなされていることもあってか、都市伝説として語られるものはさほど多くはない。だが、個々の登場人物が、これほど現実に影響を及ぼした存在としてその名が刻まれているというのは凄まじいものである。

【参考記事・文献】
「飛影はそんなこと言わない」とは?元ネタは?本当は言ってない?
https://leisurego.jp/archives/232012#i-2
幽遊白書都市伝説!桑原の裏ジンクスと最終回の謎
https://toshidensetu.net/entry52.html

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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