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顔料の余り?指定ミス?「機動戦士ガンダム」にまつわる“色”の都市伝説

機動戦士ガンダムは、1979年に放送されたロボットアニメである。

本作やそれに関連した商品であるプラモデル通称「ガンプラ」の大ヒットを受け、現在までに多くの続編がシリーズ製作されており、近年も同時期のアニメ作品中最も話題になったとされる『機動戦士ガンダム 水星の魔女』が放送されるなど、日本を代表するロボットアニメとしてその人気は衰えていない。主人公機ガンダムを含め“モビルスーツ”と呼ばれるロボットが登場し、人間同士の戦争を描き、一概に善悪の区別がなされていない設定を特徴としていた。

長い人気を誇る作品であるからか、ガンダムにも裏設定や都市伝説といったものがいくつも囁かれている。中でもよく知られている都市伝説と言えば、色にまつわるものである。主人公の宿敵であり、その深紅の軍服と数々の戦果から「赤い彗星」の異名を持つシャア。その彼の乗る専用ザク(人型操縦兵器)は通称「赤ザク」と呼ばれているのだが、赤というよりむしろピンク色に見えていたことで、これまで数々の推測がなされてきた。


この理由として語られていたのは、「ピンク色の顔料が余ったため」であるというものだ。当時、制作元のサンライズに大量のピンク色が余っており、それを捌くためにピンクを消費せざるをえなかったというのが、まことしやかに囁かれていたのだ。ファーストガンダム(最初のアニメシリーズ)において、爆発の噴煙の色がピンク色なのもそのためであったとされており、あちこちでピンク色が多用されていたと言われているのだ。

だが現、ピンク色を使用していた理由は「画面に映し出された際の都合」に基づくものであるとして否定されている。例えば、赤い軍服のシャアに同じような深紅のモビルスーツが重なるように立っていたとすれば、その輪郭を区別することは視覚的に困難となってしまうのは容易に想像がつく。

また、モノクロのモニターあるいは雑誌記事のことを想定した場合、赤は真っ黒に映し出されてしまい見えづらくなってしまう可能性もあった。特に宇宙空間を舞台とする作品において問題となる。つまり、ピンク色にしているのは、見映えによる都合というのが正確だったようだ。

しかし、これ以外にも色にまつわる都市伝説は、ガンダムには非常に多いのも事実だ。これは先のピンク色の顔料が余っていたという説にも通じるものであるが、ピンク色を大量に使用した末に今度はピンク色も底をつき、ついにはほぼ白だけになってしまったというものがある。




作中に登場する軍艦ホワイトベースの宇宙服が皆白色であったことがこの説を生み出したと言えるだろう。

さらに、作中では白いパイロットスーツを着用している主人公アムロが、オープニングで青いパイロットスーツになっているのは青色の顔料が余っていたという、これまたピンク色の時のような説もあった。これはオープニングで表示される主題歌の歌詞が白文字であったため、かぶって見えづらくなることを考慮したものであったようである。

このほか、宇宙連邦軍大尉クワトロがノースリーブになっているのは色指定のミスであると言うものも、制作に関わっていたクリエイターから否定されるに至っている。

ガンダムは、作中においても「黒い三連星」「青い巨星」「白狼」「真紅の稲妻」など、色の異名も多い。その名の通り、ガンダムはそのカラーリングが一色で構成されている制服などが非常に目立っている。そうしたカラーリングにおける象徴性が、ガンダムにおける色を主体とした都市伝説へとつながっていったのかもしれない。

【参考記事・文献】
『ガンダム』シャアのMSがピンクなのはナゼ? 都市伝説「絵の具が余ったから」はホント?
https://magmix.jp/post/110601
ガンダムの裏設定・都市伝説集・裏話 30選!シリーズ【知らないのあったらRT】
http://tiebukurojinsei.com/archives/9120
塗料じゃない!”シャアザク”がピンクの理由とは?赤い彗星なのに…【ガンダム】
https://zatsugaku-company.com/shaazak-pink/

(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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