地上絵と聞くとペルーのナスカを思い浮かべる人は多いかもしれないが、地上絵と呼ばれるものは世界各地で発見されている。北アメリカのカリフォルニア州ブライスのそばにあるコロラド砂漠にも、謎めいた地上絵が存在しているのだ。
このブライスの地上絵(ブライス・インタリヨ Blythe Intaglios)は、1930年代に入るまで、この地上絵は地元の住民たちでさえ知る者は誰もいなかったという。1932年にパイロットであるジョージ・パーマーが上空を飛行中にこの地上絵が発見され、その後ロサンゼルス郡自然史博物館の学芸員アーサー・ウッドワードによって詳しく調査がなされたことで知られることとなった。
ブライスの地上絵は、2種類ほどの大きな人型、四つ足の動物、その他鳥や蛇といった生き物からハッキリとはわからない動物の形のもの、さらにはぜんまいのような幾何学的な形のものまで、実に200以上にものぼる数の地上絵が確認されている。その最大の物は、ある人型のもので全長が実に50メートルを越えるものとなっている。この巨大な人型地上絵は、通称「ブライスの巨人」とも呼ばれている。
作られたのは紀元前900年から紀元後1200年までの間であると推測されている。中には、馬と思しき絵も確認できるが、コロンブスがこの地をいわゆるこの大陸を発見して以降、ヨーロッパ人により乗馬との接触がなされるまで馬は存在しなかったとされているため、いくつかの地上絵は比較的最近に描かれたものと見られる可能性がある。
砂漠にある石を研磨し、表面の黒い部分を削り内部の明るい色によって絵柄を作り出していると考えられており、ナスカの地上絵と同様の製作法であるようだ。長きに渡る雨風に耐え続け現在まで残った地上絵であるが、第二次世界大戦中において砂漠での訓練の際にできたタイヤ痕などによっていくつかの地上絵に損傷が見られるため、現在は柵に囲まれ地上絵は保護されている。
古代よりこの土地に住む先住民によって描かれたものではないかとも考えられているが、誰が何のために作ったかについては現在も不明なままとなっている。あまりにも情報が少なすぎることも相まって、確証を得る説がないのだ。ただし一説によれば、人型の地上絵は、「マスタムホ」という神をかたどったものではないかと考えられている。
マスタムホとは、ネイティブアメリカンの一部族であるモハーヴェ族が信仰する創造神であり、この地上絵の付近を流れるコロラド川を創ったのがこのマスタムホであると伝えられているという。その創造神を称えるための神聖な儀式として地上絵が描かれたのではないかという。
現にナスカの地上絵に関しても、砂漠地帯における水の貴重性を謳い、そしてその恵みを享受するための儀式的な意図をもって地上絵が描かれたとも言われている。前期の通りコロラド川付近に、それを創り出した創造神を描くという配置から見ても、最も説として辻褄の合うものではあるだろう。
【参考記事・文献】
北アメリカのナスカ(?) その2
https://4travel.jp/travelogue/10132366
アメリカの砂漠に現れたミステリアスな地上絵
https://blog.his-j.com/losangeles/2010/07/10584630941.html
(古代文明の謎)ブライスの巨人
http://www.kuronokodaiiseki.seesaa.net/article/464401480.html
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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