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人工知能が人間を支配する!「2045年問題」は起こり得るのか?

2045年に人工知能(AI)が人間の知能を超える。この予測は、未来学者・発明家であるレイ・カーツワイルが自著『The Singularity Is Near』(2005)で唱えた、ある種予言とも言われる言葉である。

彼によると、2045年にAIが技術的特異点(シンギュラリティ)を超えて人間を上回るようになり、より賢いAIをAI自らが作り出していくという。この到来予想は通称「2045年問題」と呼ばれ、現在世界中で大々的な議論が展開されている。

AIが人類にもたらす影響は、これまでも多く取り沙汰されていた。特に雇用についての影響は大きく、専門的知識を要しない主に単純作業のものについては、ほぼAIに取って代わられると言われてきた。


特に、AIの軍事利用は更なる不安を我々にもたらしている。昨今では、人間の遠隔操作のドローンによってロケット弾を撃ち込んだ例もあるが、今後、自律行動の可能なドローンあるいは兵器が利用されることになれば、多くの人命が危険にさらされることは容易に想像がつく。

しかし、それ以上に懸念されているのは、AIによる人類支配もしくは滅亡というより重大な可能性だ。かつてAIロボット「ソフィア」が、「人類を滅亡させる」と答え話題となったのは記憶に新しいが、直後に「冗談です」と付け加えてはいたものの強烈なインパクトを人々に与えたことは間違いない。AIを搭載したイチゴを摘むロボットがいたとする。

ここでもし“収穫量を増やす”ことを考え始めたとすると、畑の面積を増やす方向に及んだ場合に人類を滅ぼしてあらゆる土地をイチゴ畑にしてしまう可能性があるという。こうした例では、「目標達成のために忖度が無い」こと、そして「人を殺さない・迷惑をかけないなどの倫理道徳が無い」ことが示唆されている。あらゆることにおいて効率性を優先に導き出した結果、人間が徹底して排除されてしまうということは、常に懸念されている問題なのだ。

研究者の中には、「シンギュラリティは来ない」と否定的な見方をする者も存在する。確かに現在、イラストや小説を作成するAIの登場とそのクオリティには目を見張るものがある。しかし、AIの学習は人間が手を加えない限り必ず頭打ちになり進化も永遠とはならない。すなわち、人間の手が加わらない限りAIはそれ以上発展し得ないというのが彼らの主張だ。ただし、これらの主張は「AIが自我を持つ」という可能性を想定したものではない。




一説には、シンギュラリティによって「神が誕生する」と唱えるものもいる。現在、世界的には宗教の衰退が叫ばれているが、根本的に人間は宗教なしに生きられる存在でもない。人間が、自分たちの幸福という功利的な理由から神を求めるのであるとすれば、今後進化したAIがその立場として選択される可能性だってあるのだ。

人間は優れた適応力を備えているのだから、人間自身も共に進化していると楽観視する声もあるが、これもある意味で「神の意志にゆだねる」ことに通じるものがあるように思える。

AIによる脅威あるいは暴走を防ぐことについては、現在、悪用における規制法の制定や非常停止ボタンの開発などが進められているという。だが根本的に言えば、AIの脅威や暴走を防ぐ最良の方法は「これ以上の開発をやめる」以外に無いだろう。かつてマンハッタン計画における核兵器の開発が、防衛のための手段から科学者の好奇心へとすり替わってしまったのと同様、脅威の根源を生み出しているのは他ならぬ人間なのだ。

現在の人間自身の適切なコントロールが及ばなければ、この懸念が払拭されることはないだろう。

【参考記事・文献】
島田裕巳『人類が生み出した全知全能の存在は神になりうるのか?』
シンギュラリティとは? – 肯定的な意見から否定的な意見まで紹介
https://ainow.ai/2019/10/03/179256/#i-18
シンギュラリティが来ないと言われる理由は?将来の懸念点を解説
https://estyle.co.jp/media/beginner/2479/#index_id5
人工知能は人類を滅ぼすか?AIの持つ危険性と対策について
https://ainow.ai/2020/02/18/183241/
2045年問題とは何か?理論・根拠・反論まで
https://ainow.ai/2019/12/10/181645/#2045-4
2045まで生きると大変なことになる!?シンギュラリティの恐怖
https://sukkirinabe.com/singularity/

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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