オーパーツ

「バベルの塔」の物語は人間の技術進化のリセットなのか?!

バベルの塔は、旧約聖書「創世記」の中に登場する伝説の塔であり、人々が天に届くほどの高い建物を作ろうとしたことによって、神が人々に罰を与えるという内容として語られている。

人々は共通した一つの言語によって成り立っており、これが高度なコミュニケーションを生み出したとされている。そこで神は、人々から共通の言語を奪うことによって意思疎通を困難にし、これによってバベルの塔建設は達成されることが無く、さらに人々は互いを疑い憎み合うようになり散っていったといわれている。

バベルの塔の建設計画は、大洪水で生き残ったノアの血統であるニムロドの主導によって行なわれた。ニムロドは古代バビロン王として君臨しており、自身の権力を象徴する為にバベルの塔の建設を計画したと言われている。この物語は、聖書そのものに詳しく記されていないため様々な推測がなされるようになった。




特に、帝政ローマの著述家フラウィウス・ヨセフスは、このバベルの塔の物語に新釈を施し、人々が大洪水を引き起こした神へ復讐するために建てられたと記している。

バベルの塔の実在についてはこれまで様々な意見がなされている。

実在していたとすると、最も有力とされているのが現在のイラクにある「ジッグラト」と呼ばれる、日干し煉瓦を数階層に組み上げて建てられた古代メソポタミア時代の聖なる塔である。この塔は複数存在しており、その建設方法はバベルの塔の建設方法と同様であるとされている。

中でも、モデルとなったのではないかと言われているのが「エ・テメン・アン・キ」という名のジッグラトである。現在は土台しか残されていないものの、その底面の四方は約91メートル、高さは約91メートルという巨大な建造物であったとされている。

バベルの塔が実在した、いわばバベルの塔に関連する物語が実話を基にしたものであったという説に対しては、他にも根拠があげられている。共通した一つの言語で成り立っていたという点に対して言語学者アイザック・モゼソンは、実際に共通の言語が存在しておりその起源となったのがヘブライ語であったのだと自著で説いている。


また、考古学者ウィリアム・オルブライトは、旧約聖書にあるノアの子孫たちが定住した地域や発展させた国の記述に対して、「驚くほど正確な文書」だと評価している。

バベルの塔の建設は、当時の人間による最先端の技術であったと言われているが、このような進んだ技術や学問の消失に類する例には、パキスタンのモヘンジョ・ダロ遺跡やエジプトに存在していたアレクサンドリア図書館などがある。これらのテクノロジーやデータベースのリセットとも言えるような出来事は、進化しすぎた人間の科学力の行く末に警鐘を示すものとして、神とされる存在が意図して行なったのではないかとも言われている。

今なお発展目まぐるしく紛争も絶えないこの世界、またも神の罰が下される日はそう遠くないのかもしれない。

【参考記事・文献】
・並木伸一郎『神々の遺産オーパーツ大全』
・バベルの塔とは?実在した場所や多言語が生じる物語のあらすじまで
https://world-note.com/tower-of-babel/

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(ナオキ・コムロ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 ピーテル・ブリューゲル – Levels adjusted from File:Pieter_Bruegel_the_Elder_-_The_Tower_of_Babel_(Vienna)_-_Google_Art_Project.jpg, originally from Google Art Project., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=22179117による