1848年にアメリカのニューヨーク州にあるハイズベルという小さい村に引っ越してきたフォックス家で、ポルターガイスト騒動が巻き起こった。
それはラップ音が発せられるほか、ドアが勝手に開閉されたり、廊下を歩く靴音が聞こえたりといったものであり、数日間も続いたという。
ある時、家族の三姉妹であった三女ケイトが、この怪異に対して「私の通りにしてみて」と数回手を叩くと、なんと同じ回数のラップ音が返ってきた。それに倣って次女マーガレットも同じことを試すと同様の結果だったというのだ。このポルターガイスト事件は、村の名前をとって「ハイズベル事件」と呼ばれている。
交信を続けていった結果、その正体は生前行商人であったチャールズ・ロスマという人物であったことがわかり、彼は殺されこの家の地下に埋められたと伝えたという。当時の調査では確認できなかったのだが、56年経って空き家となったこの場所で、実際に地下から死体が見つかったというのだ。
この姉妹の心霊との交信は瞬く間に評判となり、多くの人々がフォックス家に押し寄せた。また、姉妹の外出先でもラップ音などの現象があったために、各地で実演ツアーが行なわれるに至った。この巡業は、アメリカのスピリチュアルブームの火付け役となり、その後世界へとブームが広がるなど大きな影響を与えることとなった。
しかし、1888年になってこれらのポルターガイスト現象は、すべてインチキであったという一報が、なんと当事者であるマーガレットの告白で明らかとなった。はじめ、家で起こったポルターガイストはマーガレットとケリーのいたずらであったのだが、それが広まってしまったことで引っ込みがつかなくなったというのである。
ラップ音は、自身の体の関節を使って鳴らしたものであり、のちにその実演も行なわれた。この衝撃の告白は多くの人々を困惑させる結果となり、非難を向ける者やそのほか、それでも姉妹の霊媒を信じ続けた者などによって論争され続けた。
結局姉妹は、1年半ほど経ってから生活困窮の為にふたたび霊媒を行ない始めたそうである。この一連の出来事でもっとも利益を得たのは、姉妹の見物やツアーで入場料を回収していた、20歳も年の離れた長女リアであったと言われており、彼女だけは裕福な生活を送っていたという。
姉妹の告白によって一応の決着がついた騒動であったが、屋外においても奇妙な現象が起こったり、また後年実際に地下から死体が出てきたりしたことについては、現在もまだはっきりと説明がついていないという。
いずれにせよ、些細ないたずらでその後の人生を大きく狂わされる結果となった悲劇であることは間違いないだろう。
【参考記事・文献】
・朝里樹『世界現代怪異事典』
・スピリチュアリズムの先駆者「フォックス姉妹」
https://www.nazotoki.com/fox.html
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(ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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