60～80年代にかけて活躍していたアメリカのプロレスラー、フリッツ・フォン・エリックは、ジャイアント馬場の宿敵と呼ばれ必殺技「鉄の爪(アイアンクロー)」を繰り出す伝説的なレスラーとして、その巨躯や風貌の迫力も相まって人気を博した。
のちにAWAの世界王座として君臨、全盛期のNWA(米プロレスプロモート連盟)の会長に昇りつめ、さらにレスラー引退後もプロモーターとして積極的に活動し、テキサス州ダラスに「鉄の爪ランド」と呼ばれる一大プロレス帝国を築いた。
しかし、その栄光と名誉の一方でエリックにまつわるとある都市伝説が囁かれていた。それは、「エリックファミリーの呪い」とでも呼べるものである。彼はかつて、「自分の息子をレスラーに育て上げていずれは跡を継がせたい」「10人は欲しい、うち2～3人は世界チャンピオンにしたい」と答えていたという。
実際、彼は6人の息子を持つこととなった。悲劇は、長男ジャックが幼少時に不注意から感電死したのが最初であった。これは単純に事故であっただろうが、不幸の連鎖は残った5人の息子たちがプロレスラーになって猛威をふるい始めることとなった。
1984年、息子たちの中で最も体格が大きくエリックも有望視していた三男デビットが、天龍源一郎の挑戦を受ける為に来日した際、宿泊先のホテルで急死(25歳没)。1986年に四男ケリーがバイク事故で右足切断。1987年、五男マイクが精神安定剤の過剰摂取による服毒自殺(23歳没)。
1991年、息子たちの中で最も小柄であった六男クリスがピストルで自殺(21歳没)。1993年、義足を付けて復帰していた四男ケリーがドラッグ使用により有罪確定し、その直後にピストル自殺(33歳没)。こうした相次ぐ息子たちの死に、自分の描いた夢を捨てざるを得なくなったエリックはすべてのマーケットを閉鎖し、プロレス界との縁を切るに至った。
こうした一連の不幸の連鎖は、確かに「呪い」としか言いようのない恐ろしさがある。しかし、実際にこれが何らかの呪いであったかにしては疑問視されているところがあり、その原因について実はエリック自身が関係していると言われている。彼は、息子たちの結果を早急に求めるあまりステロイドを進めていたと言われている。
最も小柄であった六男クリスに対しては、10代になる前から打っていたという。このようなステロイドの常用が、のちに彼らのドラッグ使用のきっかけとなったのではないかと言われている。三男デビットの死は内臓疾患と言われているが、それもドラッグに起因したものであったと言われているのだ。
エリックファミリーの呪いは、夢を求めるあまりに暴走したエリックと、その期待に応えなければならないプレッシャーを抱えていた息子たちによる悲劇だったのだろうか。
現在、唯一兄弟の中で生き残った次男ケビンの息子であるロスとマーシャルがプロレスラーとして活躍している。エリックファミリーの呪いの連鎖を断ち切る、輝かしい第二章へ紡いで欲しいものである。
【参考記事・文献】
・ケリー・フォン・エリック 呪われたファミリー
https://ameblo.jp/drummerdaisuki/entry-11246472802.html
・急死、再起不能、自殺……エリック・ファミリーの悲劇とは
https://www.excite.co.jp/news/article/E1504844268023/
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（ZENMAI 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部）
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