マクンバとは、ブラジルなどの南米大陸に存在する民間信仰である。相手を呪うための儀式が行なわれるという説明がよくなされており、黒魔術の一つと呼ばれている。
マクンバは、1830年ごろに体系化された「カンドンブレ」の一形態と言われている。カンドンブレとは、奴隷貿易によって渡米してきたアフリカ人が信仰していたアフリカ原始宗教ヴードゥーと、強制的な改宗をせまったカソリックとが習合し、さらに南米の土着信仰と混合したことで体系化された民間の信仰である。
パーカッションのリズムに合わせて聖職者が様々な神を憑依させるという儀式がなされるといわれている。カンドンブレは、大きく潮流が分かれており土地ごとにもスタイルが異なりバリエーションも多岐に渡っているが、マクンバはそのようなカンドンブレの特にブラジルのリオデジャネイロにおけるものを指して呼ばれている。
「マクンバは人を呪うための儀式である」という認識はブラジル人にとっても非常に強いようであり、何かしら不幸が続いたときには「誰かにマクンバをかけられたのではないか」と囁かれるほどに定着している。そのため、奴隷生活のつらさから逃れる為に生まれたのがサンバであり、逆に恨み憎しみを込めて生まれたのがマクンバとも言われているのだ。
マクンバは、マクンベーロと呼ばれる実践者によって行なわれるが、その儀式の具体的な詳細については、よくわかっていない。ある体験者の話によると、鶏肉を小麦粉とかき混ぜて鶏の首を切ったその血をかけ、酒・タバコ・蝋燭・人の髪の毛やアクセサリーなどを供えるという。
また、マクンバは広い意味でまじないとして行なわれていることもあり、恋愛成就など幸せの願いを叶えるものとも見なされている。
しかしマクンバの恐ろしさは、それが社会的な事柄に強く影響を及ぼすということであると言われている。呪いの標的にされてそれが知れ渡ると、関係する信仰者たちによって様々な嫌がらせが行なわれ、対象者はそれによって精神を病む。つまり、犯罪と密接に関わってくるものであり、マクンバは取り締まりの対象としても認知されているのである。
マクンバは、単に術を施さして経過を待つというわけではなく、社会的側面において攻撃が継続されて行なわれるという恐ろしい面を持っている。マクンバが恐れられているという由来は、信仰心ということだけではなく、その地の社会的な事情に結び付いた、その意味では非常に現実的な恐ろしさを孕んだある種魔術の名を冠した社会的制裁であるという点にあるのかもしれない。
【参考記事・文献】
・檀原照和『ヴードゥー大全』
・ブラジルの黒魔術 マクンバ
https://onl.bz/Wd27nXg
・ブラジルで黒魔術はなぜ効くのか?
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/12221
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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像 ウィキペディアより引用
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