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神にそむいた堕天使「ルシファー」その反乱の真意とは?

ルシファーあるいはルシフェルは、神に逆らって天から追放された堕天使と言われている。旧約聖書の「創世記」をもとにして書かれた17世紀のイングランドの詩人ジョン・ミルトンの著書『失楽園』によって、その性質や立ち回りが設定づけられて以来、現代に至るまで「絶対的悪」という立場として受け継がれている。

「ルシファー」というのは、本来「光をあらわすもの」を意味する言葉であり、夜明けに先立って輝き、太陽の光をもたらすという金星すなわち「明けの明星」「曙の子」というように訳されている。古代のキリスト教の教父たちによって、ルシファーという言葉は固有名詞として解釈され、神学者オリゲネスに始まりアウグルティヌスの『神の国』やミルトンの『失楽園』を通じて、悪魔サタンと同じ存在としても語られるようになっていった。

ただし、堕天使ルシファーと悪魔サタンが同一であるかについては現在も議論が分かれている。

キリスト教徒に信じられている説によると、ルシファーは神によって最初に作られ最も愛された美しい天使であったと言われている。ある時ルシファーは配下の天使たちを率いて神に反乱を起こしたが、結局大天使ミカエル率いる軍勢にかなわず反乱は失敗に終わり、ルシファーと彼についた天使たちはみな追放されたのだという。

ルシファーが具体的に、どのような悪事を人間に対し行なったかはあまり資料にも見られない。また、反乱を起こすに至る具体的な動機についても、「最も愛されたがゆえに傲慢になった」「神が作った人間に対して嫉妬をした」など不明確であり真意がわかっていない。




堕天使の頭領、悪魔の代表格とも言われているルシファーであるが、果たして“絶対悪”なのかという疑問が持たれている。世の中を二元論的にみること、いわば歴史において最大の対立の要因は善か悪かで分かつことである。安寧平和とは、善なるものの勝利を願い、悪を駆逐するということではなく、善と悪を諸共に包括しそして止揚する(より高次なものになる)ことではないかというのだ。

俯瞰して見ればルシファーの反乱とは、傲慢や嫉妬といった単純なものではなく、神の意志とはいえ彼なりに異を唱えた運動であったとも考えられる。実際、ある説によればルシファーはアダムとイヴに禁断の果実を与えたヘビに化けていたと言われている。これは彼の悪行の一つともされているが、捉えようによっては、彼が知恵の実を与えたことで人類は文明を発展させるに至ったとも言える。

また作家の山口敏太郎は、鬼門の祟り神「艮の金神(うしとらのこんじん)」との関係に注視し、同一化を試みることによって存在の真意を読み取ることが出来るのではないかと考察する。ルシファーの真意の追究が、これからの人間の在り方を左右する決め手となるのかもしれない。

【参考記事・文献】
・吉永進一『「天使」と「悪魔」がよくわかる本』
・森瀬繚、坂東真紅郎、 海法紀光『「堕天使」がわかる』

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(黒蠍けいすけ 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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