誰も触ったりしていないのに家具が動き、時には宙に浮かびさえする怪現象、ポルターガイスト。
目に見えない幽霊が何かを伝えるべく物を動かしているとされており、扉の開閉や食器がテーブルから落ちるなどの軽いものから、大人数人がかりでないと動かせない重い家具が動いたり、時には人間すら見えない力に動かされてしまう事例まで報告されている。
軽いポルターガイストは日本でも度々報告されているが、後者の激しい事例はやはり海外に多い。中でも有名なものが1977年から1979年にかけて、ロンドンのエンフィールドにあるホジソン家で起きたポルターガイスト事件だ。
わずか1年半の間、この家では大きな家具が揺さぶられたり、物が宙に浮かんで投げつけられるように飛んできたり、大きなノックの音がするといった原因不明の現象が多発。更にホジソン家の4人の子供のうちの1人、11歳のジャネットが幽霊に憑依される事態へとエスカレートしていったのだ。ちなみに、ホジソン家で起きたポルターガイスト現象は複数の警察官を含む人々にも目撃されている。
心霊研究協会の著名な研究者モーリス・グロース氏は、この家で発生したポルターガイスト現象をかなりの時間をかけて観察し、記録した。また写真家のグラハム・モリス氏が、ホジソン家で発生したポルターガイスト現象の証拠写真を撮影する任務を負っていた。
この家ではポルターガイスト現象の証拠とされる写真が何枚も撮影された。有名なものが娘のジャネット・ホジソンが目に見えない力によってベッドから「浮遊」しているとされるものだ。写真だけで見ると女の子がベッドで跳び跳ねているようにしか見えないが、撮影したモリス氏は彼女が「ベッドから飛び降りた」と主張したことはないと否定しており、何らかの超常的な力が一連の怪現象に関与していたと主張している。
「彼女が遊びであんなことをしたわけがない。撮影時、部屋は真っ暗だったので当時11歳の彼女が普通にジャンプしていたならば、比較的安全なレンガの壁かドアに向かって飛び降りるはずです」
モリス氏自身は幽霊の存在は信じていないそうだが、ポルターガイスト現象の実地調査に立ち会ったことでジャネット自身が持っていた超常的な力が一連の現象を起こしていた可能性が高い、と主張している。
「この少女は何らかの力を持っていると思います。この力は一種の運動エネルギーとなって、人々とコミュニケーションをとるために外に出ようと必死になっていた。その結果、ある種の力となってさまざまな形で現れたのだ」
ポルターガイスト現象は思春期の子供、特に女の子がいる家で発生しやすいと言われているのは、このホジソン家の事例からきている。
ホジソン家の事例は今では再検討の余地があるとされることも多いが、ある家で起きたポルターガイストの記録としては非常に興味深く、意味のあるものであったとする意見が多い。「エンフィールド・ポルターガイスト事件」は、いまだに多くの議論を呼んでいる。
Haunting tales are coming to Apple TV+ and the West End, but all is not what it seems, writes @jackmalvern for @thetimes. https://t.co/jbKuuAUUiD
— Cambridge Skeptics (@cambskeptics) October 25, 2023