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風習か?都市伝説か?台湾の冥婚「赤い手紙」

日本には、ムカサリ婚や人形婚といった、結婚相手の居なかった故人に対して死後婚で弔うという「冥婚」の風習が地域に残っている。

冥婚の風習は、中国や東南アジアに多く見られているが、架空の結婚相手を想定する日本とは異なり、未婚の故人どうしを結婚させたり、あるいは存命の人物を故人の結婚相手にしたりといったものが多い。

台湾では路上に落ちている「赤い封筒」を決して拾ってはいけないと小さい頃から教え込まれるという。この封筒には、いくらかの金銭が入っているのだが、それと共に故人の毛髪あるいは故人の写真が入っているという。その封筒を拾ってしまうと、近くに隠れていた遺族たちから故人との結婚を迫られるという。これが台湾の冥婚「赤い封筒」という風習だ。

この風習は『撿紅包(ヂェンホンバオ)』と呼ばれているそうだが、もともと『紅包』とは、ご祝儀や餞別を入れるのに用いられる封筒である。この冥婚の多くは、未婚で亡くなった女性のためのもので、その結婚相手として生きている男性をターゲットに行なわれるという。




赤い封筒は映画などの影響により各所で語られ、2020年ごろに当時のTwitter(現X)で、台湾在住のブロガーが赤い封筒についてツイートしたことによりネット上で大きな話題となった。都市部のような人通りの多い場所ではなく、農村部などの近郊の土地に置かれることが多いため、現地でも目にする機会はそうそうないとされている。

しかし、台湾に冥婚自体は存在するが「路上に赤い封筒を置く」風習については都市伝説にすぎないのではないかという説もある。赤い封筒の目撃が、実際にニュースとなった事例は確かに存在するが、発見者によって警察に通報されたという状況が語られるに終始しており、実際にいわゆる“被害にあった”というような話は聞かれていない。

現に赤い封筒については、風習とはいえ古くから存在するものだとは確認できず、たとえ行なわれたとしても比較的最近になって始まったものと考えられている。

現に「女性や子供が拾ってしまったらどうするのか」「単に現金だけ取られたらどうするのか」など、赤い封筒の様式を追究すると疑問に思える部分が多く目立つ。しかも、赤い封筒を拾ってしまっても100ドルほどの金額を封筒に入れて遺族に返せば解消できる、という対処法まであり、このあたり口裂け女に対するポマードなどと似た怪談的様式も見て取れる。

赤い封筒の真意は、本当に冥婚のためのものなのだろうか。

【参考記事・文献】
・台湾人の友達に『赤い封筒』の真実について聞いてみた
https://www.24taiwan.com/entry/taiwan-akai
・台湾で「赤い封筒」を見かけたら注意! 死者と結婚を迫られる「冥婚」の風習が話題に
https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/28765/
・SNSでバズった「冥婚」 台湾の伝統的風習のホントのところ
https://onl.la/1XMguwZ
・鬼月拾獲皮夾、紅包袋 男子憂冥婚 不敢花
https://onl.la/eP9jMKb

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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 jimipoji / photoAC