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あの世での成長を願う日本の冥婚「ムカサリ婚」

ムカサリ婚は、山形県村上地方で行なわれる冥婚(死後婚)の風習である。若くして亡くなった、あるいは未婚のまま亡くなった者に対して、架空の結婚相手と共に絵馬に描いて奉納される「ムカサリ絵馬」は、2000年代に入ってから広くメディアで取り上げられ知られることとなった。

なお「ムカサリ」とは、山形県で婚礼、嫁入りを意味する方言である。

冥婚は、中国・東南アジア・朝鮮半島などにも見られる風習であるが、それらは存命の人間やすでに遺体となった人物を婚礼の相手にするといったものが多く見られる。一方のムカサリ婚は、結婚相手が架空であることが大きな特徴である。これは実在の人物を結婚相手にすると、死者にあの世へ連れて行かれてしまうという強い禁忌があることに起因するという。

ムカサリ絵馬の奉納は、明治にまで遡りその構図は参列者が車座になり式を挙げる構図が多かったようだが、近年になると婚礼の風景とは乖離した描写のものが見られるようになったといわれる。また、生前の故人の顔写真を合成させたものも存在しており、現在もなお生き続ける風習として様式が多様化していることが見て取れる。




絵馬の絵は、親族が描くこともあるが主に専門の絵師がそれぞれ描くこととなっているという。

因みに、青森県の各地には婚礼前に亡くなった人や幼くして亡くなった子に対し婚礼の衣装を身に着けた人形を奉納する、「人形婚」と呼ばれる死後婚の様式が残っている。この人形婚とムカサリ婚の大きな特徴は、故人が死後もあの世で成長していくと考えられていることだろう。

あの世で一人前となって欲しいという、親族の切なる願いが痛いほど感じられる。靖国神社にも、英霊のための花嫁人形が納められている例もあるため、人形をはじめとした死後婚の形式は、かつては日本各地にも存在していたのかもしれない。

【参考記事・文献】
・小嶋独観『奉納百景』
・山形県東部に残る「死後婚」の風習 ムカサリ絵馬に込める思い
https://www.sankei.com/article/20200921-YRRD3THRBRITXMWCLHDCN3SP2Y/
・日本伝承大鑑 若松寺 ムカサリ絵馬
https://japanmystery.com/yamagata/wakamatu.html

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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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