役小角は、山伏たちを中心とした山岳信仰「修験道」の開祖とされている飛鳥時代の伝説上の人物である。
生没年が不詳であるため実在したか否かについては意見が分かれているが、『続日本紀』『日本霊異記』といった多くの古文献にその逸話が残っており、妖術を操る呪術者として語られている。
伝説によると、役小角は若いころから山岳修行に明け暮れており、幾十年もの修行の末に妖術を備えた。彼はその妖術によって、人々の厄を取り除いたり農業のために天候をも操ったりしたことから、世間から英雄視されていたという。また彼は、「前鬼・後鬼」という2体の鬼人を従えており、水汲みや薪取りなどに働かせていたが、逆らうと罰としてその身を縛って懲罰を与えたという。
一方、役小角が流刑に処されたという記録も残されている。
『続日本紀』には、ある時、韓国連広足(からくにのむらじひろたり)という人物が役小角の弟子入りをしたが、裏があると見た役小角は彼に術を伝授することをしなかった。のちにこのことを逆恨みした広足は「幻術で人々を惑わしている」と告げ口したことで、役小角は伊豆に流されることになってしまったと記録されている。
『日本霊異記』では、広足ではなく一言主神の告げ口によって、流刑されたと記録されている。役小角の仕置きで縛り上げられたことを恨んだ一言主神が、人々の口を借りて「役小角が謀反を計画している」と天皇に告げ口し、討伐軍が役小角の母親を人質にしたことで捕縛され流刑されたという。
しかし、妖術をこなせた彼にとって流刑は大それたものではなかったようで、昼は謹慎に徹し、夜は海を走りまた空を飛び各地の霊山に赴いていたという。赦免されたのちは、大陸を渡った、あるいは仙人になったなどと言われている。
役小角の伝説は、日本を代表する超人の名にふさわしく、空海や安倍晴明に比肩するものがあるだろう。また、鬼をも使役し神をも縛り上げ、空をも飛んだというその躍動的なその様は、のちに修験道に由来する妖怪と言われる天狗のイメージにも大きく寄与したことだろう。
【参考記事・文献】
・山口敏太郎『怨霊と呪いの日本史』
・役小角~鬼ばかりか神まで呪縛した異能の呪術者
https://www.rekishijin.com/11093
・日本最古のマジシャン?鬼を弟子にした天狗?謎多き修験道の開祖・役小角とは
https://intojapanwaraku.com/rock/culture-rock/123675/
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(にぅま 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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