スピリチュアル

「タバコ屋を経営していた祖母の霊体験」

山口敏太郎様、皆様、初めまして、バジルと申します。

祖母の霊体験をお話しします。私が小学生の頃、両親が留守の時に、一人暮らしの祖母が家にやって来て、一緒に留守番をしてくれるときがありました。

そんな時、祖母は私に自分の臨死体験や霊に会った話を聞かせてくれました。祖母は霊感があったようです。私はそんな話が大好きで興味津々に聞き、祖母との楽しい秘密の時間を過ごしたのでした。

そのうちの一つをお話しします。

祖母はその頃、交通量の多い国道沿いにあるタバコ屋さんで、店番のアルバイトをしていました。タバコの他に菓子パンやドリンクなども売っているお店でした。

祖母がいつものように店番をしていると、知り合いのご婦人が尋ねてきたそうです(仮にAさんとします)。Aさんは以前から病院に入院していると聞いていたので、祖母は驚いて

「あらAさん!入院しちょるって聞いてたけど良くなったん?!」と聞きました。するとAさんは、「うん、良くなって退院したんよ。」と言ったそうです。

しかしAさんはまだ自宅療養をしているのか、入院中に着る浴衣姿だったそうです。二人で良かった良かったと喜び合ったのち、しばらく世間話をしたようです。

そしてAさんはこう切り出したそうです。

「あんたには以前から本当にお世話になって、色々助けてもらったから、今日はお礼を言いたくてわざわざ来たんよ。」

祖母はとにかく貧乏な自分のことは顧みず、人に気前よくする人だったので、同じことを言う人は少なからずいました。祖母はAさんにそう言われ、また気前よさを発揮して、「いいからあれもこれも持ってお行き」と、店の菓子パンをAさんの浴衣のたもと一杯に、これでもかというくらい入れてあげたそうです。

Aさんは何度もお礼を言い、たもとを膨らませて国道沿いを歩いて帰って行ったそうです。その後ろ姿を、陸橋に隠れて見えなくなるまで見送ったそうです。

菓子パンを大量に持たせるのもいかにも祖母らしいのですが、見えなくなる最後まで見送るのもまた祖母らしい一面なのでした。私が祖母の家から帰る時も、必ず私の姿が小さくなって見えなくなるまで手を振って見送る人だったのです。

だからAさんの時も同じように見送ったのだなとすぐに納得しましたし、祖母が作り話を言ってるのではないと確信を強めたのでした。



Aさんが帰って、やがてタバコ屋の店主が戻ってきました。祖母はさっそく店主に、Aさんが退院して訪ねて来てくれたことを話しました。

店主は腰を抜かさんばかりにびっくりして、「えっ!ウソ!そんなわけない!だってAさんは先月病院で亡くなったよ!」

祖母が言うには、なぜ浴衣姿なんだろうと思ったものの、Aさんは生きている我々と何一つ変わらなかったそうです。生身の人間そのままだったそうです。なので、死んでいるとはまったく疑わなかったそうです。

私は、自分の肌を指でつまみ上げ「こんな生々しかった?」と何度も祖母に聞きました。が、祖母はひたすら「うん、そうや、私らと何も変わらん」と言いました。

私はさらに思いました。『大量の菓子パンはどうなった?あの世に持っていけるの?』『霊は車の多い国道大通りを歩いていって、どの辺でこの世から消えた?』『自分で死んだことはわかっていたの?』『わかっているのに祖母には退院したっていう定でお礼を言いに来たってこと?』

そんな祖母も平成の最後の年に亡くなりました。そして、祖母もまた霊として現れることになります。

亡くなってすぐ、長男である叔父さんが夜中何か気配がすると目が覚めて、居間を見にいったところ、祖母がテレビの前に座っていたというのです。これまたはっきりとした姿だったそうです。

祖母は生前テレビ好きで、とくにプロレスや野球に熱くなるのが好きな人だったので、テレビの前に座っていたと聞いて、これもまた祖母らしいなと納得でした。

私は、”おばあちゃん、私に霊体験を話してくれた時は、不思議だ不思議だと言っていたけど、おばあちゃんもその不思議な霊になって出て来てるじゃん”と思ったのでした。

以上です。ありがとうございました。

(アトラスラジオ・リスナー投稿 バジルさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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