YOROと申します。昔の事になります・・・海へ行った時に宿泊した民宿での少し不思議な話を聞いていただけると幸いです。
【白い玉】
23歳の夏休みの話です。元妻の義父から連絡があり、義父の飲み友達と子供達を含め総勢20名ほどで伊豆大島へ行く事にりました。
熱海港からフェリーに乗り元町港へ着くと2~3分の所にその宿はありました。義父が度々乗る釣り船の船長が経営する民宿で、普段は釣り客専門なのでしょうが特別に貸し切りにしてもらった様です。お世辞にも綺麗とは言えなく普通に古民家のようでした。
私の部屋は8畳間に扇風機一台にウチワが5枚、蚊取り線香1本。窓を開けると目の前に裏手の山につながるコンクリートの擁壁(ようへき)という豪華設備で、窓を開けても風は全く通らない部屋でした。一番奥の窓際に義父、次に3歳の息子と妻、そして私の順に布団を敷き就寝です。
皆が寝息をたてだしたころです。
蒸し暑く私のチョット手前で向こうを向いてしまう扇風機のため寝苦しさで寝れずにいた私は、部屋の一番暗い隅っこの壁に寄りかかりウチワを片手にボーっとしていました。どれくらいそうしていたでしょうか・・・
窓をすり抜けて何かが入ってきて、網戸の内側に浮いているのです・・・それは大き目のグレープフルーツ程の大きさの、煙の入ったシャボン玉の様なハッキリとしない白い玉です。
「デカッ!!」
私は、その球には見覚えがありました。
自宅で夜中にトイレに起きたり喉が渇いて起きたりしたときなどに、柚子か金柑くらいの玉が足にクルクルとマトワリついてくる事が時々ありチョンと蹴ったり手で払ったりして追い払っていた事があったのですが、その特大版のような感じなのです。
その特大グレープフルーツはしばらく網戸の内側に浮いていたかと思うと、私の方へユックリと近づいて来ました。義父の上を通り過ぎ、息子を通り過ぎて妻の胸の上まで来たところで玉はピタリと止まりました・・・
息を殺して見ていると、妻が苦しそうにうなされだしたのです。何かを必死に言おうとしているけど、声にならないような感じで「ウーンウーン」と、うなされている妻・・・
「アレ?もしかして金縛りになってる?」と思った私は、この先はどうなるのかと好奇心に駆られて、妻を放置して・・・しばらく観察していました。
いよいよ妻は金切り声に近い声をあげだしたので、私は暗がりからソ~っと抜け出して妻の足の方から特大グレープフルーツに近寄り、ウチワと右手の手の平で「パンッ!」と叩きました。
すると特大グレープフルーツは消え、妻がガバッと上半身を起こしたのです。
額に汗をかき肩で息をしている妻・・・その様子が妙に可笑しくて、込み上げる笑いを堪えて聞きました。
「もしかしてT子、金縛りにあってたの?」と聞くと、妻は「うんうんうん、何かが上に乗ってきた」と言うではないですか・・・
私は今見たことを妻に伝えました・・・吹き出しながら・・・
しかし馬鹿な私は放置して観察していた事までも言ってしまい、霊より怖い妻の逆鱗に触れてしまい「すぐおこしなさいよっ!」と大人になってから初めてのピンタを頂きました。
この元妻は取り憑かれた様になったり、アブダクションされたりと色々と不思議な人だったので、またお話しさせて頂きます。
長文失礼いたします。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 YOROさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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