ニュース

誰も触れられず、近づけず、腐敗したまま放置された155年前のイギリスの難破船

イギリスのとある川には、なんと155年前のビクトリア様式の船が放置され朽ちるがままになっていると。その船の名前はレディ・アリス・ケンリス号、サフォーク州にあるナショナルトラストのサットン・フー敷地内を流れるデベン川の岸に草木に埋もれた状態で放置されている。

レディ・アリス・ケンリス号は世界的に有名なカティ・サーク号を設計したスコットランドの船大工エルキュール・リントンが設計し、グラスゴーで建造された船だ。この船はスコットランドやイングランド、北アイルランドで牛を運ぶ貨物船として使われていた。その後フェリーに改造され、1913年に吸引浚渫船になったが、1930年代後半に一部が解体され、デベン川の現在の場所に置かれることとなった。



間違いなく歴史ある船であり、国家的に重要な遺産として認定されているにも関わらず、船体が川の中にある上に満潮時には船全体が水没してしまうため、近づく事もできず対岸から確認することしかできなかった。修復にも危険が伴う上に、現状から不用意に手を触れようものならばもっとひどい状態に陥る可能性があるとも言われていた。

ヒストリック・イングランドの最高責任者であるダンカン・ウィルソンは次のように語る。

「レディ・アリス・ケンリス号は、幽霊のような遺構しか残っていませんが、私たちの航海の歴史の重要な一部として保護に値します。デベン川の潮間帯から現れる船体そのものを見ることができるのは、印象的で珍しいことです」

現在、船レディ・アリス・ケンリス号は、緑の苔に覆われてゆっくりと自然に還ろうとしている。

(田中尚 山口敏太郎タートルカンパニー ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像 https://twitter.com/East_England_NT