第16代アメリカ大統領エイブラハム・リンカーン。彼は奴隷解放やアメリカ南北戦争による国家分裂の危機を乗り越えるも暗殺により命を落とすという最期を遂げている。
そのせいか、リンカーンには様々なエピソードや不思議な伝説が多く残されている。
ホワイトハウスに彼の幽霊が出没するという話や、亡くなる前にもう一人の自身、ドッペルゲンガーを見ていたという話などが有名だろう。これらの伝説が残り、語り伝えられているのも、リンカーン大統領の人気を示すものと言えるかもしれない。
さて、そんなリンカーン大統領が愛用していた時計に、持ち主だった本人も知らなかったメッセージが刻まれていた事が2009年に判明していた。
アメリカのスミソニアン協会によれば、リンカーンは1850年代にイリノイ州スプリングフィールドの宝飾店で金色の懐中時計を購入。その後長年ずっと愛用していたのだが、途中で何度か修理にも出していた。そんな修理に当たった時計職人の一人であるジョナサン・ディロン氏は作業の際、懐中時計の内部に大統領へ送る言葉を刻み込んでいたのだ。
ちなみに彼は1906年、84歳の頃にニューヨーク・タイムズに当ててメッセージを彫り込んでいたことを告白していたが、歴史家たちはこの告白を疑問視していたという。後に証言を受けて確かめてみたところ、実際に以下のようなメッセージが彫られていたことが判明したのだ。
「『1861年4月13日』サムター要塞は、上記の日付にワシントン反逆者によって攻撃されました。J.ディロン」
「『1861年4月13日』私たちに政府がいることを神に感謝します。ジョナス・ディロン」
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Secret Message in Lincoln’s Watch
メッセージはいずれも1861年4月12日から4月14日にかけて彫られて、南北戦争の発端となったサムター要塞の戦いに言及したもの。さらに1864年には「L.E.Gross」という別の時計職人の署名が、またさらに後年に連合国大統領の名前である「Jeff Davis」が彫られている。
米国歴史博物館のブレント・グラス館長によれば、こちらはあくまで個人のメッセージであるため、リンカーン大統領本人がこのメッセージを知ることは無かったろうとのことだ。
(加藤史規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像&動画©Paranoid Times/YouTube