【昭和のカルト事件】生きたアレが万病に効く?大阪で謎の集団が逮捕される





かねてより日本では、妖怪である「人魚」の肉を食べると不思議な力がもりもり湧き、病気にならない体になるとされている。しかし人魚と一文字違いの「金魚」ならどうだうだろうか……。

1971年(昭和51年)3月11日の読売新聞に奇妙な記事が掲載されている。「生きた人魚 万病に効く『残酷』『不衛生』と大阪で騒動」とある。

これは大阪府大阪市の某マンションの一室で、とある団体が生きた金魚を「万病に効く」と言って偽り、逮捕された事件を報じている。

記事によると、逮捕されたのは、長年に渡り日本を代表する観賞魚である金魚に宿っているという不思議な力を研究していた団体3名。代表者であるAは、金魚研究を戦前から行っていた、この道40年のベテランで、関係者から「先生」と呼ばれていた人物だった。




この団体が行っていた「金魚治療法」というのがこれまたクレージーで、かつかなりグロいものだった。マンションの一室で飼育していた金魚を牛肉などをひき肉にするミンサーで生きたままミンチ状にし、それを水と一緒に患者に飲ませていたのである。

患者の多くは主婦や老人など40~70代と幅広くほとんどは口コミによって集まった男女だったという。値段は100グラムあたり1500円からで、毎週火・木に指定されたマンション一室へ集まった男女に3~5センチの金魚が数匹入ったタルを見せ、ミンサーで一匹丸ごとひき肉にし、スプーンですくって飲ませていたらしい。

A先生によると、生きた金魚のひき肉は「腎臓、肝臓、肩こり、リューマチなど万病に効く」ということらしく、医者に見放された肝臓病の患者などは金魚のひき肉を飲んだことで病気が完治したというのだ。




なお、金魚のミンチが「万病に効く」というのは完全迷信であることは読売新聞紙上でも言及しており、大阪府の衛生課の話によると「一種のゲテモノ趣味であり、信じる方がおかしい」と一刀両断されているほかにも、「製事法の問題のほか寄生虫やビールス(当時はウィルスとはいわなかった)など衛生法違反も疑われる」とし、即逮捕に至ったという。

当然ではあるが、「金魚に不治の病を治す」という学説は現在までも解明されておらず、今でいう「カルト宗教」の儀式のようなものではなかったかとされている。

(文:穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY

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