4時44分44秒に、4階女子トイレの前から4番目の個室で自ら首を切り、命を絶った少女の妖怪である『トイレの花子さん』は、学校の怪談などで全国的に知られており『444』は花子さんのステータスナンバーともいわれているようだ。

トイレの花子さんはあまりにも有名なため、多様な怪談物語や派生理由などが囁かれており、怪談の内容としては、「誰もいないはずの学校のトイレでノックをすると、白と赤の服を着た花子さんから返事が返ってくる」といった物語である。

怪談の派生理由としては、日本神話に登場する『はにやまひめの神』と『みつはのめの神』を祀った、厠屋(トイレ)神信仰が江戸時代に盛んだった事などが挙げられている。

筆者が桜の名所である千葉県野田市に鎮座する最古の神社「櫻木神社」へお花見に出かけた時の事である。

花満開との情報が入ったので櫻木神社に行ってみると、平日の昼間であるにも関わらず 参拝者の行列で賑わっていたので、参拝者に整理券を配布している神職の方に何事かと訊ねてみた。すると、「本日は櫻木神社さくらの日まいり限定御朱印を配布する最終日なんです」とのことだった。

当初の予定は花見をして桜の写真を撮って帰るだけのつもりだったが、筆者も随分と人気があるさくらの日まいり限定御朱印がついつい欲しくなってしまい、整理券を貰ったところ、なんと「444」番目だったのだ。現在900番台の整理券を持っている参拝者が呼ばれていたので二順目の444番目ということらしい。

つまり、約500人待ちである。目安の待ち時間は4時間~5時間とのことだったので、例年こんなにも人気がある行事なのか訊ねてみたところ、「今年はさくらの日まいり限定御朱印を配布する期間を大幅に増やしたので、昨年よりは混雑していません」との回答だった。

それにしても凄い人気で、 男性よりも女性の参拝者の方が圧倒的に多かった。




御朱印を頂くまでに時間があったので、見事なまでに咲き乱れた素晴 らしい多種の桜を眺めながら、 のんびりと櫻木神社の境内を見て回る事にした。境内のトイレを拝 借しようとして驚いたのだが、トイレ入り口の上部にしめ縄がまい てあったのだ。更にトイレの中に入ると右手の方に神棚が置いてあ り、神棚の中を覗いてみるとお雛様が祀られていた。トイレは不浄 な場所とされているので、しめ縄をまいたり、神棚を置いたりするこ とは、近年では非常に珍しいそうだ。櫻木神社境内のトイレは「厠屋神社」とされ、非常に綺麗で清潔になっていた。

厠屋神社は、美人成就、健康長寿、安産、子授け、福徳、(下半身・目・耳)の病治癒に御利益があると伝えられている。

ここで、厠の禁忌六箇条(トイレでしてはいけない事)という箇条書きを紹介しておこう。

 一、唾を吐くこと
 一、汚すこと
 一、騒ぐこと
 一、食べること
 一、中の人を呼ぶこと
 一、中の人を覗くこと

皆様も参考にして縁起を担いでみてはいかがだろうか?

櫻木神社では山桜が御神木となっており、桜の開花に因んで開運や縁結びに御利益があると伝えられている。

その他、浮遊するあやしき妖魔を鏑矢で射ることにより、妖魔は善神となり 剛力無双の守護神になるという伝説が記された古記録が見つかる事によって150年ぶりに復活した『ひきめ神示』という、弓矢が用いられた春を告げる行事が行われる。

ところで、トイレをノックするという行為は『厠の禁忌六箇条』に当てはまるのではないだろうか?

厠屋神信仰の盛んだった江戸時代~昭和初期頃は、便所の中の人を呼んだら神様に怒られる、バチがあたる・・・などという風習があったことは容易に想像ができる。この風習が、「トイレをノックすると花子さんから返事が返ってくる」といった怪談を派生させたと考えられないだろうか?

トイレの花子さんの白と赤色の服装から桜の花を連想せずにはいられない。トイレの花子さんが派生した原因は、櫻木神社境内に鎮座する厠屋神社にあるのではないのだろうか?トイレの花子さんは、なんて尊い存在なんだろう・・・。

お花見をするだけのつもりが、様々な思いが筆者の頭をよぎることになってしまったのである。

花満開の櫻木神社は女性が参拝するための神社と言っても過言ではないほど非常に美しい神社だった。




※参考 櫻木神社縁起より

櫻木神社 〒278-0032 千葉県野田市桜台210 電話:04-7121-0001 ホームページ http://sakuragi.info/

(前世滝沢馬琴 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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