1970年代に『週刊少年マガジン』に連載された『愛と誠』(原作:梶原一騎 漫画:ながやす巧)が最近再び注目を集めた。
というのも、今月5月のはじめ頃、古書店まんだらけの運営するオークションサイトにて『愛と誠』の行方不明とされていた原画が数点が出品されたのである。出版元の講談社はまんだらけに出品の取り下げをお願いしたが、取り扱ってもらえず、原画は合計400万円の値が付き競り落とされた。
行方不明となっていた『愛と誠』の原画は、講談社によると実写化の際にテレビ局やレコード会社に貸出していたものらしく、当時使用期間が過ぎても返却されず、どこでそうなったのか、いつしか最終的に漫画コレクター達の手に渡ってしまったものと推察されている。
この問題に対し、現在ネットでは出版社における漫画原稿の保管の在り方を問題提起する声も相次ぎ、各所で様々な議論も行われているようだ。
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例えば、昭和を代表する漫画のひとつである『鉄人28号』(作:横山光輝)は、2005年になるまで作品を網羅した単行本が存在しなかった。
これは当時の漫画家および編集者の間で原稿を残すという意識が薄かったことが原因であり、原稿が雑誌に掲載された後は破棄、もしくはコマごとに切り取って読者へプレゼントするという行為が行われていたからだ。
しかし、その後、印刷技術の向上により掲載された雑誌からのトレースおよびパソコンで絵を修正するなどの作業が行われ、現在では何不自由なく『鉄人28号』の原作を読むことができる。しかしながら『鉄人28号』のようなビッグタイトルが長年に渡り復刻されていないこと、また存在しない原稿があることは文化的損失である。
なお、昨今では編集者および漫画家が原稿を管理することに関しての認識は確実に変化している。現在、漫画家の多くは過失により原稿が紛失しても、作者自身がカバーできるよう原画のコピーを個人で保管してるケースが多く、その背景には先人たちの損失と後悔があったからこそとされている。
(江戸前ライダー ミステリーニュースステーション・アトラス編集部)
画像『愛と誠(16) (マガジンKC)』