5月8日、日本野球界で前代未聞の珍事が起きた。
この日、甲子園球場では阪神対ヤクルトの試合が行われていたのだが、6回阪神の攻撃中、空から甲子園の外野芝生に何かが降ってきたのだ。
それはなんと一匹の「魚」。
左翼の守備に付いていたヤクルトのバレンティンが異変に気づき、タイムを要求。落ちてきた魚はすぐに職員によって回収された。バレンティンは数メートル先で大きな音がしたためこの事態に気づいたそうで、魚が落下してきた周辺には生臭い異臭が漂っていたという。
このように「空から奇妙なものが降ってくる」現象を「ファフロッキーズ現象」と呼ぶ。
日本でも度々報告されており、2009年に石川県を中心に報告された「オタマジャクシが空から降ってきた」事例が記憶に新しいのではないだろうか。
ファフロッキーズ現象は古来から世界で報告されており、空からの落下物を意味するfalls from the skiesを略した造語である。日本でも和漢三才図会に怪雨(あやしのあめ)の記述が存在している。降ってくるものは石や魚が多く、時にはカエルや血、生肉などケースによって様々だ。
ファフロッキーズ現象がなぜ起きるのかについては、海や遠隔地で起きた竜巻に寄って巻き上げられたものが降ってくる説があるが、2,3日に渡って異物が降り注いだ話もあるため、一概に竜巻だけが原因であるとは考えられにくい。
もう一つの説に、鳥が捕まえたり食べたりした獲物を空中ではき出した、とする説がある。
事実、8日に甲子園球場に降ってきた魚は生きているものではなく、既に死んでいるものであり、清掃した職員によれば「半分消化されてドロドロの状態だった」という。そのため、今回の事例はサギやウ等の魚食の鳥によるものではないかと見られている。
また、2009年のオタマジャクシが降ってきた事例も、サギの仕業ではないかと見られている。
しかし、鳥の仕業とすると別の事例、石などが降ってきたケースは該当しないため、ファフロッキーズ現象は全てが解明されているとはいえない、謎に満ちた超常現象となっているのである。
(文:望月歌寿彦 ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)