このような悲惨な事件はなぜ発生したのか。
1977年10月14日に記録されたたいへん痛ましい事件である。前日の10月13日、10時頃、東北の某市の診療所に60歳の男性に連れられ、生後2ヶ月の女の子の赤ちゃんが血まみれの状態で運び込まれた。
赤ちゃんはカミソリのような鋭利な刃物で顔をメッタ斬りにされており、重症。左目上、くちびるなどに数十センチほどの深い傷を負っている状態で、診療所では手に負えないことから市内の病院へ搬送されたものの、同日13時頃出血多量で死亡した。
殺した人物はすぐに判明した。なんと、犯人は実のお姉さんにあたる2歳の女の子、A子ちゃんだった。
A子ちゃんは最近、ようやく片言ではあるが話せるようになり、2ヶ月前に妹が生まれた事を喜び、両親に対してもお姉さんぶるなどしていたという。またA子ちゃんはお母さんを真似て化粧遊びをすることがあり、お母さんのカミソリを使った顔剃りなどをよく観察していたという。
この痛ましい事件があったこの日、両親は働きに出ていて、おじいちゃんと幼い娘二人は朝早くから留守番をしていた。A子ちゃんは両親が出かける際「行かないで」と駄々をこねたが、その後はおじいちゃんと外で遊ぶなどしていたという。
しかし、A子ちゃんはおじいちゃんが目を離した隙を見計らい、赤ちゃんのいる自宅2階へあがり、赤ちゃん相手にカミソリ遊びをしたらしいのである。
なお、本事件で未だハッキリとしないのは、A子ちゃんが可愛がっていた妹をあやめた動機である。
生後2ヶ月とはいえ、カミソリで顔を何度も切られた赤ちゃんはその痛みで泣き叫んでいたはずである。いくら幼いとはいえ、血まみれで泣き叫ぶかわいい妹の顔に何度もカミソリをあてるという精神状態は理解しがたく、本件を調べた教育の専門家も首を捻り「何か心に奥深い原因があったのではないか」と推察。
小さなお姉さんが引き起こしてしまった事件。今では成人となっているA子ちゃんに当時の記憶があるのかはわからないが、本事件から41年が経過していることから、A子ちゃんは現在43歳前後になっているはずである。
幼くして亡くなったA子ちゃんの妹を悼むと同時にA子ちゃんがその後無事に社会生活を営んでいることを祈りつつ、本稿を終了したい。
(文:穂積昭雪 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーション編集部)
画像©PIXABAY