今やほとんど死語となっている感がある「アイドル親衛隊」。いわゆるお目当てのアイドル歌手の熱烈なファンが集まって、私的に応援活動や身辺警護をする組織のことを指す名称であるが、このアイドル親衛隊が猛勢を振るっていた1980年代前半、全国で様々なトラブルが発生していた。
1983年10月18日の朝日新聞朝刊に以下のような記事が掲載されている。
「渋谷のテレビ公開番組-ファン同士が争って怪我」
これは当時、大人気だったアイドル歌手・中森明菜のファンが渋谷公会堂で前で大暴れし検挙された事件を報じている。
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10月17日、21時20分頃、東京都渋谷区の渋谷公会堂の正面玄関で日本テレビ系列の人気番組『ザ・トップテン』の収録が行われ、当日は中森がゲストとして招かれてた。収録は無事に終わり、中森が控え室に戻ろうとした時、約20名のファンが大挙して公会堂前へ集合。いったい何が原因だったのかは不明だが、集合した際にファン同士の間でトラブルがあり流血騒ぎに発展してしまったという。
この時の一部ファンは暴徒化し、なかには棍棒のような物を持った凶暴な親衛隊がいたことで、これで殴られた二人が頭に全治10日の傷を負ったほか、乗用車がメチャメチャに壊されるなどの被害に遭ったという。
なお、主犯格は高校生~大学生の20名で、彼らは中森明菜ファンの間でも過激派の親衛隊として知られていたという。
今はあまり目にしなくなった「親衛隊」という制度……良くも悪くも80年代のアイドルはファンも含めて非常にパワフルだったという証拠なのだろうか。
(文:穂積昭雪 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)