以前、ATLASでは、「有名バラエティー番組の真似をして死んでしまった小学生」をニュース記事として紹介したが、今回は「特撮ヒーロー」の真似をして死んでしまった小学生のニュースをご紹介したい。
1972年(昭和47年)5月3日付の毎日新聞によると、「〝月光仮面〟首絞まる すべり台にマントからみ」という事件が紹介されている。これは栃木県の某幼稚園で特撮ヒーロー『月光仮面』の真似をしていたと思われる幼稚園児が遊具に着衣が巻き込まれて窒息死した事件である。
5月2日、午後1時頃、栃木市内の某幼稚園へ通うAちゃん(4歳)がすべり台の途中でうつ伏せになって既に亡くなっている姿で発見された。Aちゃんはすべり台の途中で首が絞まり窒息死したものとみられており、Aちゃんは園児服の上着に腕を通さず、一番上のボタンだけをはめてマント状にした「ヒーロースタイル」で発見されていて、その後すぐに蘇生も行われたが、息をすることはなかった。
Aちゃんはその年の4月に幼稚園に入園したばかりで、いつも家では特撮やアニメ番組をかぶりつくように見ていて、特に大好きなのは『月光仮面』だったという(注:1972年という時代を考えるとAちゃんがよく見ていた『月光仮面』とは1958年制作の実写板ではなく、1972年1月から放送されてたアニメリメイク版の『正義を愛する者 月光仮面』と思われる)。
なんとも痛ましい事故ではあるが、当時は特撮やアニメのヒーローを真似て怪我をする子供が相次ぎ、大きな社会問題となっていた。
相次ぐ事故の報道を受けた当時の超人気番組『仮面ライダー』(1971年)では、劇中で藤岡弘、が演じる主人公・本郷猛が自ら「ライダーキックは、仮面ライダーだからできるんだ!」と注意喚起を促すシーンが作られるなどしていた。
当然ではあるが、これらの事故は番組やヒーローそのものに直接的な過失はない。しかし、屋外の温度も暖かくなり、子供たちも活発になって外で遊ぼうとする今の季節。子供たちの戦隊ヒーローなどの物真似や遊具による事故に対し、保護者の方々にもくれぐれも気を配って欲しいものである。
(文:穂積昭雪 山口敏太郎事務所 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)