作家の石原伸司さんが亡くなった。
石原さんは、千葉県生まれで12歳で家出し、繁華街を徘徊していたところをホステスに拾われ、極道の道に進んで山口組直系組長にまでのし上がった人物だ。足を洗い更生後は作家として活動し、愛称「夜回り組長」として親しまれた。夜の街を歩き不良少年たちの相談に乗り、人身売買された少女たちを助けたこともあった。たびたびメディアに登場した個性豊かな文化人であった。
2018年3月6日夜、都内の公園で知人男性と口論になり、刃物で切りつけるという傷害事件を起こした直後、自ら隅田川に飛び込んだ。その後、遺体が発見され死亡が確認された。
さらに驚くべきことに、豊島区の簡易宿泊所にて2017年10月に発生した強盗殺人事件の容疑者として、石原氏は書類送検されてしまった。現在、被疑者死亡の段階での書類送検となっている。
この強盗殺人事件は、71歳の宿泊客が絞殺された事件であったが、被害者の所持していた高級腕時計ロレックスを石原氏が腕につけ、簡易宿泊所を出ていく様子が監視カメラに映っていた事、被害者の着衣に付着した血痕のDNAが石原氏のものと一致した事から、今回の書類送検に繋がったようだ。
筆者と石原氏は二度ほど会ったことがある。出版社のパーティーと編集部ですれ違った程度だが、名刺交換させて頂いた。社交辞令的な会話からの印象は、不良少年たちの更生に尽力している気のいいおじいちゃんといった感じだった。
先日の漫画家吠夢さんの死去といい、コアマガジン、ミリオン出版に代表されるコンビニコミック、ジャンク雑誌全盛期を支えた作家たちが亡くなっていく事は、一抹の寂しさを感じてしまう。
心よりご冥福をお祈りしたい。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)