未来人ブームのはしりとなった人物「ジョン・タイター」その3 より続く
前述したとおり、タイターは彼がいた世界と我々の世界との誤差は2%程度だと考えていたが、その内実は全く異なっていた。彼らの世界では、悲惨な核戦争を経験しており、膨大な面積の土地と30億人もの人間を失ったのだという。
その起点となったのが、「2000年問題」であった。
タイターのいた世界では、この問題に上手く対処する事が出来ず、世界中がコンピューターシステムの誤作動に端を発する大混乱状態に陥ったのだという。
その混乱の根は深く、2005年にはアメリカで内戦が勃発し、それが10年間もの間続く事になる。2015年、この混乱に乗じて、ロシアがアメリカに核ミサイルを発射、これがもとで世界は核兵器が飛び交う第3次世界大戦へと突入してしまう。戦争は2年後にロシアが勝利を収めて集結し、世界の多くの国々は社会主義国になるのだという。
この頃、日本はどうなっているのだろうか。
アメリカが力を失ったことで、中国が勢力を拡大し、韓国や台湾などと共に、日本を併合してしまう。さらに、ロシアから核兵器を打ち込まれてもいて、凄まじい被害を受けているのだという。
タイターがいた2036年頃には、戦争がもたらせた深い猜疑心によって、外交は途絶えてしまうものの、各国は復興の途上にあるのだという。その一方で混乱で生まれた様々なテロ組織が存在し、彼らとの小規模な戦争が際限なく繰り返されている状況にある。
その他にも、核による土地や大気の汚染、水や食料の確保なども大きな問題になっている。また、戦争以前と以後とでは倫理観が大きく変わってしまい、コミュニティに害になる人間を殺すのは当然だと考えられているのだという。(※続く)
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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