実話怪談「4枚の抽象画」その6

実話怪談「4枚の抽象画」その5 から続く

男の語る話にFさんは全身に鳥肌が走るのを感じながら、ただ黙って耳を傾けるしかなかった。

「おまえはもう帰れ。あとは俺がなんとかする」
「で、でも・・・」

「俺はこれからこの絵を封印する。お前は邪魔だ。さっさとやらねぇとまた死人が出るぞ」

どうやって封印するのか気にもなったが、そう言われては引き下がるしかなかった。謝礼として持ってきていたなけなしのお金が入った封筒を渡そうしたが、男は受け取らなかった。

「いらねぇ。その代わり絵はもらうぞ」




Fさんは4枚目の絵も男に手渡した。別れの挨拶もないまま、Fさんは男の家を辞した。それからはもうFさんの回りの人間が不可解な死に方をすることはなくなった。

だが、Fさんは3人の人間を死なせてしまったという深い後悔に襲われ、鬱病のような状態になり、学校を休学し引きこもりのような状態になった。精神病院に通い、半年ほど経ったころ少し持ち直した。

その頃、FさんはまだKさんにお礼を伝えてなかったことを思いだし、連絡を入れた。すると、こんなことを言われた。

「おれもお前に電話しようと思ってたんだ。じつは最近うちのオヤジがあの人に会いにいったんだけど、どうも行方不明になっているらしいんだ」

そう言ってKさんは父親と電話を替わり、父親からあの時のことを詳しく聞かれ、自分が家に行ったときのことを教えてくれた。

その話によると、家には3枚の絵と血痕が残されていて、4枚目の絵は無かったのだという。Kさんの父親から4名目の絵について色々と聞かれた。だが、4枚目の絵には液体を拭きかけたところを見ていないため、あの絵に本当は何が描かれていたのかはFさんにもわからず、元の絵の内容を話すぐらいしかできなかった。

その後、あの男性がどうなったのかは分からないままになっている。Fさんはいまだに、度々このことを思いだしては、あの男性が無事であることを祈っているのだという。

(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©PIXABAY




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