茨城県の小さな町で行われる町長選挙が今、日本全国からの熱視線を集めている。
1月30日、人口約2万人の茨城県猿島郡境町にて現町長の任期満了に伴う町長選挙の告示が行われた。出馬者は2名で、立候補したのは現職の町長である橋本正裕氏。そして唯一の対抗馬してこの選挙を戦うのが無所属の新人、高嶋勇喜氏という人物だ。
ここまでであれば通常の小さな町のごく普通の町長選挙であるが、この町長選挙が注目されている理由は対抗馬、高嶋氏の「珍名」ぶりなのである。
「高嶋勇喜」・・・漢字四文字にすると何の変哲もない名前であるが、現地の報道メディアによると、彼の名前は「高嶋勇喜」と書いて「たかしま てつわんあとむ」と読ませるビヨンドスーパー・超絶・珍名の人物なのである。
この衝撃の事実はTwitterをはじめとするSNSでも大きな話題になり、「茨城県の町長選に鉄腕アトムが!」「すごい名前の立候補者が現れた!」と10万馬力並みの話題になっているのだ。
高嶋勇喜氏がなぜ「鉄腕アトム」を名乗っているのか、また勇喜という名前がなぜ「鉄腕アトム」と読むことができるのか、まったくもって理解できない。なお、仮に高嶋氏がこの町長選に勝利すれば、例えば町議会の時や公の催し物の席でも「鉄腕アトム町長~」と呼ばれることになるのは容易に想像できて、思わず吹き出してしまいそうである。
なお、 毎日新茨城版によると高嶋氏は今回の選挙に合わせて名前の読み方を「てつわんあとむ」にわざわざ変更したとの報道があり、少なくともこの世に生を受けた直後の命名時には鉄腕アトムではなかったという。
これが悪目立ちしたいがため、無理やり改名したならば話は至極簡単だが、高嶋氏の公約は「専門家の登用による町政運営」「 事務職員の非正規化を推進し人件費削減」など極めて正当的で真面目な内容であるため、ネットでも「(呼び名の変更は)まったく意図が不明」と首をかしげる人は多い。
なお、余談であるが、同じく「アトム」の名を持つ有名人には俳優の下條アトムがいる。このアトムという名前は芸名と思われがちだが、驚くべきことにアトムは本名である。
下條の父である俳優・下條正巳(『男はつらいよ』のおいちゃん役で有名)は「日本は将来、アメリカのように名前・苗字の順に呼ぶようになるだろう」と考え、英語かつアルファベットのAが付く名前を息子につけたのだという。
下條は1946年の生まれであり、手塚治虫が『鉄腕アトム』の原型となる漫画『アトム大使』を初めて世に出したのは1951年であるために、同名となったのは偶然の一致であるという。ちなみに下條の通っていた小学校には、鉄腕アトムの妹である「ウランちゃん」という実名の女生徒も同級生にいたらしい。
なお、ATLASでは以前、名前の「シンクロ現象」として昭和期に二人いた美空ひばりという記事も掲載しているので併せてご覧いただきたい。
(文:パンダ・レッサーパン・ダグラフ ミステリーニュースステーション・ATLAS編集部)