俳優・渡辺徹は、類まれなる霊感の持ち主である。数多くの心霊体験をしている事は有名な話だ。
アトラスでも渡辺に関する記事を何本か掲載している。「年末の奇妙な風景、渡辺徹一家は年末年始の旅行の前パンツ1枚で食事する」「榊原郁恵と渡辺徹の喧嘩の原因はオナラと鮭」などがアーカイブである。
渡辺がまだ若かった頃の話である。地方でコンサートを行っていた。すると楽屋に1人の中年女性が訪ねてきた。
「突然すいません。うちの娘が渡辺徹さんのファンでしたもので」
どうやら、話をよく聞くとその女性の娘さんは渡辺の熱烈なファンであったが、コンサートに来ることなく亡くなってしまったと言うのだ。
「いいですよ」
渡辺はその女性にサインをしてあげた。コンサートが始まり、渡辺はヒット曲を熱唱していた。
「んっ?」
会場に先ほどサインをした中年女性が座っているのが見えた。と同時に、若い女性がそのすぐそばに座って熱狂的に応援している姿も見えた。
不思議なことにその若い女性の姿は、まるで客席の中でも浮き上がっているようだった。
コンサートが終わって、あまりにも先程の若い女性のことが気になった渡辺は、
「さっきサインしたお母さんを呼んできてくれ!」
マネージャーに指示して、先ほどの亡くなった娘のためにサインが欲しいと言った中年女性を楽屋まで呼んできてもらった。
そして、念のためその女性に亡くなった娘さんの写真を見せてもらうことをお願いした。
(こっ、これは・・・)
渡辺は絶句した。さっきまで客席で熱狂的に応援していた若い女性がその写真の中で微笑んでいたのである。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)