妖怪

人間の目を借りていってしまう、冬に訪れる妖怪「みかり婆」

 みかり婆こと、箕借り婆は関東地方に伝わる妖怪である。

 旧暦の12月8日または2月8日に人家を訪れ、人間の目を借りていってしまうと言われていた。また、お供に一つ目小僧を連れているというパターンもある。

 箕借り婆に目をとられないためには、家の前に籠やざる、目籠を竿の先につけて立てておくといいとされた。実は箕借り婆は一つ目であるため、目(編み目)の多いものを怖がると言われていたのだ。

 さて、旧暦の12月8日や2月8日は物忌みの期間にあたるため、仕事をせず家に籠もっているのが良いとされていた。また、地方によってはこの物忌みの期間を「ミカリ」「ミカワリ」と呼ぶところもあった。

 時代が過ぎて祭事のために行っていた物忌みが形骸化し、化け物が現れるために家に籠もっているのだと解釈されるようになった。こうして生まれたのが箕借り婆ではないか、とされている。

(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

画像©Wikipedia 鮮斎永濯画『温古年中行事』2月8日に目籠を付けた竿を立てる様子が描かれている