以前、アトラスでは海中で観測された謎の怪音「Bloop(ブループ)」について紹介した。
1997年にアメリカの海洋大気庁が水中マイクSOSUSで感知したものであり、まるで生物が息継ぎの際にたてる音に酷似していた。しかし、その音量は超低周波も含む相当なものであり、地球最大の生物シロナガスクジラが立てる音よりも遥かに大きかったという。シロナガスクジラも相当大きな音を発するのだが、「Bloop」の音が生物由来だったとして大きさを推測すると、その実に3倍はあることになるという。現在でも「Bloop」が何によって発生するのかは分かっていない。
しかし、海ではBloopの他にも様々な謎の音が記録されている。
1991年に同じくアメリカ海洋大気庁が水中マイクSOSUSにて感知したのがアプスウィープ(Upsweep)である。この音は太平洋のどこでも録音できるほど大きく強いもので、数秒で音の高さが上がる性質を持っている。不思議なことに、季節によってこの音は変化し、春と秋にピークが訪れるという。アプスウィープは火山性地震の震源に近い所から発されているらしいとされているが、発生源や原理は分かっていない。
Unidentified Deep Sea Sounds – UpSweep (1X)
1997年5月に太平洋赤道付近で録音されたものがスローダウン(Slow Down)だ。七分以上の時間をかけてゆっくりと周波数が低くなっていき、特徴的な波形が描かれたためこの名前で呼ばれている。スローダウンも発生源は不明であるが、南極の氷が動いて陸地を擦った際に生じる音と波形が似ているので、これも同様の原因によるものではないかと考えられている。
Unexplained sounds #2 : Whistle
1997年7月に同じく太平洋赤道付近で観測されたものがホイッスル(Whistle)だ。この音は奇妙な点が多く、発生源が不明である上にこれまでどの水中マイクにも録音・観測されていないという点がある。同時に中層海流の影響と見られる音が観測されているものの、ホイッスルに関しては原理も何もかもが全く不明となっている。
広い海の中で何が起きているのか。観測を続けていく事でやがて明らかになるのかもしれない。
(田中尚 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
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