事故の多い道路には、事故で亡くなった人の幽霊や現代妖怪がでると噂されている。以前、アトラスでは「ひきずるもの」という高速・小松川7号線に出現する不気味な怪異について紹介した。
道路に出没する妖怪で極めつきなのは次に紹介する妖怪である。これも筆者が運営するサイト「妖怪王」に投稿された話で、ユーザーが1995年頃の話として書きこんだものだが、相当に異様な存在だ。
ある人物が、深夜に車の通りがほとんどない道で車を走らせていると、ヘッドライトが照らす前方に、道路に座り込んでいる人物がいるのに気がついた。運転者は慌てて急ブレーキを踏んだ。
急制動がかかった反動で運転手はハンドルに顔を伏せるような恰好になった。人をはねたような感触はなく、運転手は胸をなでおろした。
それにしても、なぜ車道に人が座っているのか。運転手は顔を上げてみた。
車道に座っているのは、大きな黒いリュックのようなものを背負った少女のようであった。少女は地面に散らばった何かを必死に拾い集めている。
道路を渡ろうとしてリュックの中身を道路にこぼしてしまったのだろうか。
よくよく見てみると、少女は濡れて歪な形をした物体を拾っており、それを必死に胸のところにかき集めている。長いクダのようなものや、袋状のもの・・・少女は手を真っ赤に染めながらそれらを拾い集めているのだ。
それが何であるかが分かった。でも、まさか・・・。
だが、どう見ても少女が拾っているのは、バラバラになった臓器であった。肝臓や胃、腎臓、大腸・・・少女は地面に落ちている臓器を拾い集め、自分の腹に空いた穴に必死に戻しているのである。
また少女が背負っているものもリュックではなかった。大型トラックのものと思われるタイヤで、その大きなタイヤが少女の背面にめり込んでいたのだ。
このあまりにグロテスクな姿の少女は「内臓少女」と呼ばれる都市伝説妖怪である。トラックに轢かれ死んでしまった少女の霊が妖怪化したものだという。轢かれたのは突然のことだったため、少女は死んだ事を認識出来ず、事故で散らばった内臓を拾い集め続けているのだろうか。
そうだとしたらなんとも哀しい話だが、目撃したらトラウマになること必至の妖怪である。
見てきたように道路に現れる都市伝説妖怪の中には痛ましい姿をしたものも多いが、それは悲惨な事故を無くして欲しいという必死な願いの現れなのかもしれない。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)
画像©PIXABAY