幼くして亡くなった子供に特別な葬儀を行う事例は世界中に存在する。
この式典はインド南西部のPerlaにあるPretha Kalyanamという伝統儀式の一環で行われたもの。主賓は飾り付けられた手作りの人形であり、それぞれ亡くなった子供の名前がつけられ、あたかも人間の結婚式のように扱われて婚礼の儀式が行われていくのだ。
これは亡くなった子供を持つ両親たちが行う儀式だという。中絶された胎児や幼くして亡くなった子供の霊は現世に対する思いが強いため、数年後家族に結婚に対する障害や子供が生まれない等の様々な悪影響をもたらしてしまう。
そこで、亡くなった子供たちの霊に現世で出来なかった結婚をさせてやり、盛大に祝ってやることで成仏を祈るのだという。新郎新婦となる子供たちは占星術で相性が最良な相手が選ばれるそうだ。
婚礼の儀式も普通の結婚式と同じように進められる。結婚式の後、花嫁と新郎は寺院の周りを歩くのだが、この儀式では亡くなった子供の兄弟が両方の肖像画を持って歩く。そして、最後は寺院にある木のうろに置かれ、祈りが捧げられるのだという。
この儀式は、過去には村をあげて行われていたそうだが、現在は子供たちの遺族の間で執り行われるとのことだ。
日本でも、亡くなった子供のために結婚式を挙げた絵馬を奉納する「ムカサリ」の風習がある。
日本の場合は相手が霊界に連れて行ってしまわないように、架空の相手を結婚相手にするとのことだが、インドの場合は亡くなった子供どうしの結婚という形になるのが物悲しい。
(加藤文規 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)