筆者は十数年前から、各地で妖怪町おこしを展開している。これはアメリカで始まったクリプトツーリズムに起因する。
クリプトツーリズムとはUFOやUMA、都市伝説をモチーフにした町おこしで、歴史の浅いアメリカで生じた観光学の概念である。
筆者は、青梅での雪女町おこし、岐阜柳ヶ瀬商店街での口裂け女をメインに据えたお化け屋敷、銚子でのUFO召喚実験と妖怪博物館を主軸に据えた町おこし、徳島市の都市伝説と妖怪を使った町おこしを展開している。
こうして羅列すると何でもないが、それに伴う心労は並大抵のものではない。
地元住民と本音でぶつかり、共に心血をそそぐ覚悟が必要だ。作家というプライドを投げ捨て、地元と何十年も生きる決心がないといけない。
筆者が妖怪町おこしを始めた十数年前、妖怪という名前のつくものは全て欲しがる大作家某が、妖怪町おこしに触手を伸ばした。
残念ながら当時山口敏太郎の名前は、今ほど有名ではなく二箇所の町おこしを取られてしまった。
勿論、資本主義だから誰が何をやっも構わない。どの町がどの作家のプロデュースを選んでも構わない。
しかし、一言だけ言いたいのは、自分を選んでくれた町に対して、作家として責任を持つべきである。
年に数回しか足を運ばず、新しいイベントも考えず何がプロデュースだ。
青梅は十八年目、岐阜は九年目、徳島は五年目、銚子は二年目である。これからも筆者は彼らと共にあるだろう。そしていざという時は、町を守るために戦うつもりだ。 町おこしにおけるプロデューサーと町のあり方とはかくあるべきである。
妖怪と名のつくものは全て欲しがる大作家某はここまで出来るか、中途半端に手を出した町を放置し町おこしを失敗した罪は大きい。
地方の住民が町おこしにどれだけ苦労しているか、まさに万死に値する。
(山口敏太郎 ミステリーニュースステーションATLAS編集部)